ユネスコスクール支援内容
1.加盟申請支援とネットワークを活かしたESD/SDGs教育の推進
琉球大学は沖縄県内のユネスコスクール及び加盟を目指す学校への申請支援をはじめ、SDGsの達成を目指してESDに取り組む学校に対しての実践支援、教育研究支援を行っています。また、県内のキャンディデート校への加盟促進につながる支援を行っています。2024年度は支援を続けていた県立高校1校が、加盟申請に向けたチャレンジ期間に入っています。
本学は沖縄県教育庁のユネスコスクール担当部署である生涯学習振興課と日頃より情報交換を行うなど連携を図っており、例えば沖縄県SDGs達成のための教育研究指定校(加盟に関心を持つ学校を含む)の研究報告会等への参加を通して県内のESD/SDGs教育の取組み状況の把握に務めています。
2.ESDの推進、実践に関わるさまざまな支援
1)県内のユネスコスクールや加盟を目指す学校での教職員を対象とした校内研修、2)沖縄県総合教育センターや県教育庁の各地区教育センター等における教員初任者研修等でのESD講習、3)県内の小中高等学校の教職員を対象としたESD及びSDGs達成に向けた教育の理解を深める研修における講師や指導助言を行っています。特に、沖縄の特異性を活かしたESDの推進とユネスコスクールの質の向上に繋がる支援を目指しています。2024年度は、11月9日に開催した本学主催のESD/SDGs教育実践活動報告セミナー(沖縄県教育委員会後援)において、終了後にユネスコスクール(キャンディデート校含む)および加盟に関心のある学校との座談会(情報交換)を実施し、ユネスコスクールの取り組み(加盟までの流れや活動助成金情報を含む)に関する最新の情報や学校の個別の相談等について意見交換をすることが出来たこともあり、有意義な集まりとなった。
ESD活動紹介
1.地域とともに未来社会をデザインする大学としてESD/SDGs教育に取組んでいます
2019年6月に「琉球大学におけるSDGsへの取組みについて(学長メッセージ)」を公式ホームページにて発信後、2020年6月にSDGs推進室が創設され、2024年度にはSDGs推進本部として組織が強化されました。従来から取り組んでいる4つの部門(教育、研究、社会貢献、業務・ガバナンス)に加え、カーボンニュートラル推進部門が設置され、カーボンニュートラル未来へのシナリオに向けたロードマップを策定しました。その中でも教育部門では、現在及び将来にSDGs達成に貢献する人材を育成するために、SDGs達成に貢献する教育実践に向けたセミナーの開催、授業科目とSDGs目標の関係の可視化、SDGs教育カリキュラムの構築などを通じて、自ら主体的に考え行動する能力を引き出すESD/ SDGs教育を牽引する役割を担っています。
SDGs推進本部web サイト:https://sdgs.skr.u-ryukyu.ac.jp/
2.沖縄ESDティーチャー研究会の開催と教員の力量形成を支援しています
ESDの視点を持った授業づくりの実践につながるネットワーク(幼小中高大での実践を共有し、相互に活かしていく)の構築を目指し、2021年ESDティーチャープログラム(近畿ESDコンソーシアム・奈良教育大学主催)沖縄会場の開催支援を契機に沖縄ESDティーチャー研究会を立上げ、ESDやSDGsの達成に向けた教育の授業実践の量と質を高めることを目的に実践の報告や相互の近況報告等を行っています。本研究会では、参加者の相互理解と主体性、教科の多様性、経験の有無を問わない開放的な雰囲気を大切にした集まりを目指しています。また、2024年度はESDティーチャープログラムに2名の現職教員(1名はスペシャリストコース)が受講しています。そして、沖縄ESDティーチャー研究会のメンバーは、適時情報交換しながら勤務校での取組みに必要なアドバイスを受け合う等の積極的な交流を図っています。
3.学生の主体的・対話的なESD実践を支援しています
全学部の学生有志で構成される琉球大学エコロジカル・キャンパス学生委員会(エコキャン)は、HESDフォーラムやアジア最大の環境見本市であるエコプロへの参加等を通して、他大学の学生団体との交流・意見交換を深め、学生としての個人変容から社会変容に繋げる実践に取り組んでいます。大学では学生のこのようなESD実践を旅費の援助をはじめとしたあらゆる側面から支援を実施しています。

写真1:第17回HESDフォーラム@千葉商科大学で活動紹介をする学生たち

写真2

写真3
(写真2および3)エコプロ2024@東京ビックサイトでの出展ブースとブース訪問の小学生に沖縄の地域課題への取組みを説明
4.ESD/SDGs教育実践活動報告セミナーを通して、県内の教育連携を促進します
県内の学校では多くのSDGs教育実践が行われており、沖縄県におけるSDGs達成のための教育研究指定校やユネスコスクールの学校全体での取組みをはじめ、関心を持つ教師個人での活動も多く見受けられるようになってきました。しかしながら、地域間や学校間による取り組みの格差も見られ、どのように進めたらよいか、その展開の仕方に悩んでいる学校現場があることも事実です。また、ユネスコスクール加盟後10年以上経過した学校においてはSDGsの登場もあり、ESDの位置づけや役割の確認及び社会の変化に即した課題を学び、その解決を目指した行動変容を促す取り組みを展開していくことが求められています。今後の活動を加速し、より多くの教育関係者にESD及びSDGsの達成に向けた教育に関わってもらうために、本学では最新のESDとSDGsの達成に向けた教育の動向を学び、県内で取り組む学校や教師らの校種を超えた実践活動報告を通して学び合う場を創り、情報共有と意見交換を促進することを目的としたセミナーを毎年開催しています。2024年度は、SDGsのゴール1「貧困をなくそう」につながる沖縄の子どもが抱える貧困の問題解決に向けて学校現場はどのように子どもを支え、学びを確保してあげることができるのかをテーマに実施しました。
2024年11月9日に対面及びオンライン配信にて開催したセミナーでは、第一部に沖縄県教育委員会のSDGs達成に向けた教育研究指定校及びユネスコスクール加盟校からの実践活動報告、そして沖縄ESDティーチャー研究会のメンバーの所属校でのESD実践報告を共有しました。会場では活発な意見交換が行われ、異種学校間でのオープンで網羅的な実践活動報告のメリットを実感することが出来ました。第二部では、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター教育協力部長の大安喜一氏による『ユネスコスクールと貧困の解決に向けた取組み』、そして琉球大学人文社会学部人間社会学科教授の本村真氏による『沖縄県における子どもの貧困の現状と支援の課題』と題した2つの特別講演が行われました。国内外のユネスコスクールや生涯学習の現場における多様な取組みの事例や全国に比べ約2倍という子どもの貧困率が深刻である沖縄県の現状と課題を学び、質疑応答を通してESD/SDGs実践に取り組む意義と可能性を共有する機会となりました。

写真4:ユネスコスクール金武町立中川小学校による実践報告
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写真5
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写真6
(写真5および6)特別講演で貧困の連鎖や低所得と貧困を区別する考え方を学ぶ
5.高校生のSDGsと関連した探究的な学びを支援します
SDGsの達成には、地域や世界で発生している諸課題を自らの問題として捉え、持続可能な社会を創造できる若者の育成が不可欠です。琉球大学では、高校の「総合的な探究の時間」で生徒が取り組んだ探究活動の成果を発表する場として『沖縄未来社会創生シンポジウム』を沖縄県教育委員会と2019年より開催しています。高校生の発表には沖縄が抱える健康や教育に関する問題など、SDGsと関連性の高いテーマも多く、大学と県内の高校がSDGsで繋がり、地域における教育の充実・発展を目指しています。

発表の様子

講評の様子
活動自己評価
https://www.unesco-school.mext.go.jp/supporters/aspunivnet/self-assessment/ryukyu/