• とうほうこうとうがっこう
  • 東邦高等学校

  • Toho High School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野環境, 世界遺産・地域の文化財等, 貧困

所在地 〒465-8516 名古屋市名東区平和が丘3丁目11番地
電話番号 052-782-1171
ホームページ https://www.toho-h.ed.jp/
加盟年 2014

2024年度活動報告

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, ジェンダー平等, 貧困

A)国際交流・文化の継承を中心に
1)4か国5校姉妹校交流会
本交流会は、本校が提携する中国、ニュージーランド、オーストラリアの姉妹校の代表の生徒と教員を一度に集合させ、2週間の交流を行うものです。1997年に第1回を開催して以来、定期的に実施してきました。英語を学ぶための研修とは違い、毎回テーマが決められており、そのテーマに基づいて各国の生徒たちが事前学習に臨み、当日はプレゼンテーションやディスカッションをすることがこの交流会の特徴です。
2024年度は南京の姉妹校を会場として、「祖先が残した知恵」をテーマに開催されました。本校の生徒は発酵食品に着目し、事前学習を重ねたうえで日本の発酵食品の特色について現地で報告をしました。事前学習の途中、愛知県内にある「酢」や「味噌」の製造工場でのフィールドワークを行い、考えを深めることができました。人類にとって必要な「食」と「伝統」と「祖先の知恵」を融合させたプレゼンテーションを行うことができたと同時に、参加生徒たち自身が日本の文化に関する理解を深めることができました。
2)国際交流会の開催‐海外の高校生との交流
4月に姉妹上記校交流会を開催したのち、7月アメリカ、9月ニュージーランドから来校した高校生との交流を行った。各国の文化の紹介や一緒に料理を作ったり、歌や踊りを披露したり、書道や茶華道などを通して楽しみながら相互理解に努めた。そして、今年度も留学生の受け入れを継続し、イタリア、アイスランド、タイ、インドの生徒が本校生徒と学んでいる。英語圏以外の国々との交流を通して、世界への関心を高めることができている。
 また、Global Caféとして在名の留学生などを招聘した交流会を再開した。これは、コロナ中に海外からの来校が途絶えていた頃に、国際交流の継続として考えた企画であったが、この度生徒からの要望を踏まえて復活させた。コロナ時代は定期的に実施してきましたが、今年度は復活一回目としてウズベキスタン出身の留学生を招いた交流会を実施しました。出身国の紹介、クイズやゲームなどを通しての交流を行いました。この交流会では英語圏以外の国にスポットを当てて、日頃は馴染みのない国であっても日本とのつながりを知ったり、世界の中の自分に引き寄せて考えられるように努力しています。
3)葵プロジェクト
本校では2016年から開始している葵プロジェクトは今年7年目に入った。京都の葵祭で必要となるフタバアオイを株分けし、学校で育て数を増やしてお戻しする取り組みから、1300年の歴史を持つ葵祭を持続可能なものにする取り組み。あわせて、自然と共生してきた日本の文化についても考えることができる取り組みである。今年度は京都世界遺産研修に参加した主には一年生の生徒たちの中で葵プロジェクトについての学習を進めることができた。次年度春には、新たに株分けをいただき、フタバアオイの育成を再開する予定です。
B)普通科国際探究コースのとりくみ
1)世界遺産学習と京都世界遺産研修
 今年度の世界遺産学習も昨年度までの内容を基本的に踏襲する形で進めた。
温暖化の問題に影響を受ける自然遺産や、戦争に巻き込まれている文化遺産など、世界遺産は世界規模で進んでいる課題に直面しているものがたくさんある。これまでと同様に、世界遺産を切り口として、世界規模で進んでいる問題について知ることを目標としている。1学期には、①ユネスコを知る。②世界遺産委員会や、登録基準を知る。③日本の世界遺産を知る。以上の内容に取り組んだ。
 2学期には世界にある世界遺産の中から1件を選び、その価値や歴史的背景などを調べたうえで、現代を象徴するどのような問題に直面しているのかという視点を含めたプレゼンテーションを行った。また、世界遺産の持続性に関する外部コンテストにも応募した。3学期には、身の回りにある大切なものの中で、将来世界遺産として残してもいいと考えるものを世界遺産登録基準に合わせて提案することとしている。
今年度は世界遺産学習に取り組む国際探究コースの1年生の生徒で京都世界遺産研修を実施した。目的地は東寺と上賀茂神社で、目的は以下の通りとした。
①日本の世界遺産を通して日本の歴史、文化、宗教、美術などに関心を持つ。
②日本の世界遺産を巡る地球規模の課題を知り、解決策やアクションプランを考える。
③ユネスコ、世界遺産への関心を高め、その保全や次世代への継承について考える。
 
2)2年生模擬国連の授業
2年生国際探究コースでは、様々な世界課題を広い視野から見つめなおし、多角的に事柄を見つめることを目標としている。模擬国連という授業の中で日本の立場だけでなく、様々な国の立場に立って考えることで、多角的視野を身に付けたいと考えている。主なテーマは海の問題や人権問題である。
①人は海とどのように向き合って生きてきたのか。「捕鯨」問題を考える
「捕鯨」をテーマとして日本の立場だけでなく、諸外国の立場に立って考えた。夏休みには現在でも鯨類の捕獲が行われる和歌山県太地町を訪問し、フィールドワークを行った。海の豊かさを守る観点から設定したテーマであったが、鯨をとってもいいのか、いけないのかという単純な話ではなく、人が海とどのように向き合って生きてきたのかについて深いディスカッションを行うことができた。
②シンガポール国立大学の学生との模擬国連
秋に行うシンガポール研修において、シンガポール国立大学の学生とともに「オーバーツーリズム」というテーマで模擬国連を行った。観光客の受け入れとともに課題となる地元の人々の暮らしをどう守るのか、環境や地域経済を含めた幅広い議論を行うことができた。すべて英語での複雑なディスカッションになったが、様々な考え方に触れることができたことはもちろん、英語で乗り越えたことに大きな自信を得た。
③地元大学との連携
模擬国連に取り組む地元大学との連携において、「CO2削減」をテーマに模擬国連を行った。大学生と高校生が対等に議論しお互いに刺激しあうことができた。

3)日米交流の原点「海の交流会」
ジョン万次郎こと中濱万次郎の生涯を切り口にして、日米交流の原点について学ぶ機会を持った。昨年度は万次郎の子孫の方と万次郎について研究しておられる方をお招きして、日本人とは、国際交流とは何かについて語っていただき国際交流の原点にもつながる講演を伺った。
今年度は「捕鯨」というキーワードから、ペリー提督の5代目子孫、ジョン万次郎が漂流中に救出したアメリカ捕鯨船の船長William Whitfield氏の6代目、7代目の子孫、そしてジョン万次郎5代目子孫を本校にお招きした交流の場を「海の交流会」として持った。この交流会では、「捕鯨」に関する学びを深めるだけでなく、草の根の交流の大切さを学び取る場となった。特に中濱家とWhitfield家は代々交流を継続しておられ、国家間の関係が悪かった時代においても「手紙」を通した交流をしてこられました。草の根レベルでの交流を継続することが将来の国際関係に大きく影響することを生徒たち自身が気付くことができました。

C)生徒会活動
 本校生徒会が2014年度から運動化してきた「名古屋空襲慰霊の日」条例制定運動開始から10年目の節目を迎えた今年度、請願署名が名古屋市議会を通過し、「なごや平和の日」として5月14日が条例制定されました。空襲の犠牲になられた方々を悼むとともに、戦争の記憶を語り継ぐための日となりました。この運動の背景に合った理念はユネスコ憲章冒頭の「平和のとりで」でした。

D)ユネスコデーの開催
 国際デーに合わせて学期に一度のユネスコデーを開催する目標を立てた。しかし実際には、学校行事などの都合で今年度は1回のみの実施となった。環境デーに合わせて外部からの講師を招聘し、環境保護のために今できることを講演していただいた。参加者は30名程度で小規模ではあったが、国際デーに合わせた取り組みを実施できたこと自体に意味が大きいと考える。

来年度の活動計画

①4月には本校を会場にした4か国5校姉妹校交流会が「オーバーツーリズム」をテーマに開催される。観光に関わって、経済や環境、地元の人々の暮らしなど、総合的に理解を深める場とする。
②Global Caféを再開させたので、これを定例化し、日常的に外国の文化を本校に流し込めるようにしていく。
③世界遺産学習は今年度世界遺産に関わる研修を実施することができたので、さらに充実した研修を開発していく。
④葵プロジェクトは今年度上賀茂神社を訪問した生徒が主体者となり、フタバアオイの保全から葵祭を持続可能なものにしていくための発信を学内にしていく。
⑤近隣のユネスコスクールの学校との取り組み紹介の交流を通して、次世代を担いパートナーとしての意識を醸成する。
⑥国際デーに合わせたユネスコデーを学期に1回を目標に開催する。
⑦国際交流活動については海外高校生の積極的な受け入れ、また本校生徒の派遣も積極的に行うことで活発化させる。

過去の活動報告