2018年度活動報告
本年度の活動内容
環境, 平和, 人権, 福祉, 健康, エコパーク, その他の関連分野
※高山市立荘川さくら学園は、高山市立荘川小学校と高山市立庄川中学校が統合し、令和7年度に開校しました。
(旧)高山市立荘川小学校
本校では、ESDと高山市教育の方針である「郷土教育」を関連付けて捉え、「生態系の保全と持続可能な利活用の調和」をテーマとして、教育活動を進めている。ESDの実践を通して、児童一人一人が地域への愛着と貢献感、また、地域の方々と協働して生きていこうとする共生力を育成することを目標としている。
具体的には、「地域行事への参加」「荘川地域への発展活動」を柱に、①町内一斉清掃活動への参加②白山ユネスコエコパーク学習会への参加③荘川桜保全活動への参加等を実施してきた。
高山市荘川町は、平成28年3月に白山ユネスコエコパーク(移行地域)に登録された。本校と荘川中学校は(保)小中一貫教育に取り組んでおり、ESDについては系統的に進めようと取り組んでいる。
① 町内一斉清掃活動への参加
毎年、5月に行われている町内一斉清掃活動に全校児童が参加し、地域の方々と一緒になって各地域のごみ拾いや側溝の土砂すくい、草刈り等に取り組んでいる。平成28年12月には、長年に渡り取り組んできたこの地域の景観保全活動が認められ、高山市より「美しいふるさと認証賞」をいただいた。
② 白山ユネスコエコパーク学習会への参加
白山ユスコエコパーク(移行地域)の理念のもと、豊かな自然と生態系の保全、自然資源を活かした持続可能な荘川地域の発展をめざした教育活動に取り組んでいる。荘川支所の協力をいただきながら、岐阜大学応用生物科学部の教授や学生の皆さんと一緒に、地域に生息しているミズバショウの保全活動を3年前から進めている。
ミズバショウは、高山市の天然記念物に指定されており、貴重な自然資源である。
第1回目:岐阜大学教授より、ユネスコエコパークに関する講話
第2回目:山中峠ミズバショウ群落においてミズバショウの種の採取
学校裏にある池のほとりへの植苗、越冬について
第3回目:5年生児童による実践発表(昨年定植したミズバショウ苗の観察結果など)
③荘川桜保全活動への参加
岐阜県天然記念物に指定されている荘川桜は、湖底から御母衣湖畔に移植されて57年が経過している。
今年5月、地域貢献として荘川桜の保全活動を行っている電源開発(株)御母衣電力所が中心となり、荘川支所、荘川まちづくり協議会、荘川小中学校が一緒に萱敷き作業を行った。総勢50名による作業となり、児童生徒は萱を両手で抱えながら荘川桜の根園に運び、3~5センチ程度の厚さになるよう熊手でならした。その後、樹木医の先生より荘川桜の樹木内部の様子や萱敷きをして根を守ることの大切さを学習した。最後には長寿を願い児童生徒による合唱を披露した。
(旧)高山市立庄川中学校
本校は、「伝統芸能の魅力を感じ、誇りをもって継承していく生徒の育成」をESDテーマとして掲げ、荘川の素材を活かし荘川で生活する人々の思いや願いを聞くことを通し、自己の生き方に活かせる学びになるように2つのことを中心に取り組んだ。
1つ目は伝統芸能の習得である。全校生徒が地域指導者から伝統的な獅子舞や民謡に合わせた踊りについて学び、町主催の祭りイベントや文化祭等で披露する活動である。今年度はこの町主催の祭りにおいて、祭り運営へも関わりをもとうとトイレ清掃や、祭りの動態調査、ごみ収集等のボランティア活動にも取り組んだ。
2つ目は、各学年でテーマを設定した地域に関わった問題解決学習への取組である。第1学年は地域調べ。第2学年は勤労体験を通した地域の知恵や工夫調べ。第3学年は自分たちにできる平和活動をテーマに活動した。
①伝統芸能の習得に係わる活動
伝統芸能の保存に携わっている地域の方々から、獅子舞(お囃子を含む)や笠踊り(民謡に合わせた踊り)等を学ぶことを通して伝統芸能を伝えようとする人々の思いを知ると共に生徒自らが継承していこうとする態度を育成するために実施した。地域に伝わる獅子舞演目3曲について獅子方と囃子方に分かれ自分たちだけで実施できるようになるまで、5月から月2回ほどの割合で練習を行った。10月には文化祭で獅子舞を披露したり、町主催の「ふるさと祭り」で笠踊りを披露したりして、保護者地域方々や観光客の方々に見ていただく活動を行った。
②学年テーマ別地域に関わる問題解決学習
ア)第1学年の取組は、5月下旬から荘川の名所や旧跡、その謂れについて調べる活動を通してそこに住んでいる人々の地域への思いを知ると共に自分たちが地域にできることについて関心を持つことを目的に実施した。また、市内の博物館等の事業所を訪れた折に自分たちが調べまとめた資料をもとに荘川の紹介をする活動に取り組んだ。イ)第2学年の取組は、勤労体験学習及び昔から荘川に伝わる食文化や民具について調べたり食べ物や民具の制作等の活動を通して昔の人々の知恵や工夫を知り 現代に生かせることに関心を持つことを目的に実施した。
ウ)第3学年の取組は、地域の戦争体験者からの話や修学旅行等で広島の方のお話を伺ったり当時の様子などについて調べたりする活動を通して、自分たちができる平和活動に関心を持つことを目的に実施した。自分たちが調べたことをもとに文化祭で戦争をテーマにした劇で平和を訴える活動を行なった。また、地域の老人施設や、福祉施設、保育園などに訪問し、合唱の披露や、手遊び交流等、異年齢交流を積極的に実施した。
来年度の活動計画
(旧)高山市立荘川小学校
5月:「地域一斉清掃活動」
地域の方と住んでいる地区のごみ拾いや草刈り、側溝の土あげを行う。
活動後はごみを分別し、地域の方々と振り返りの会を行う。
5月:「荘川桜保全活動」
地域の方々と一緒に荘川桜の根を守るために、藁を利用して根を覆う作業を行う。
5月~12月(年4~5回):「白山ユネスコエコパーク実践学習会」
1回目:岐阜大学准教授による講話及び大学生との交流
2回目:山中峠ミズバショウ群落において種採取
3回目:児童によるミズバショウ苗の観察結果の発表
4回目:荘川の風土に関する学習
※7月:東京都新島村立新島小学校との交流(「海の子山の子交流事業」)
(旧)高山市立庄川中学校
平成31年度も、全校で伝統芸能への取組を継続して行っていく。獅子舞及び笠踊りにおいては、文化での発表の場や町主催の「ふるさと祭り」での発表の場があり毎年恒例の行事として取り組む予定である。今年度から「ふるさと祭り」へのボランティア参加をすることで町主催の行事に運営面で関わることができたので、さらなる関わり方を考えていきたい。
さらに、白山ユネスコエコパークに関して、山中峠ミズバショウ保全活動、荘川桜保全活動への取組も加えていきたい。 各学年の取組においても、30年度の取組を活かし、より地域の関わりを深くしながら、外部への発信の仕方を工夫していきい。保育園から小学校、中学校、地域の方々やお年寄りまでが関わりながら地域の特色を発信できるような取り組みとなるよう改善していきたい。