2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, エコパーク, ジオパーク, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

高山市立荘川さくら学園は、高山市立荘川小学校と高山市立庄川中学校が統合し、令和7年度に開校しました。

(旧)高山市立荘川小学校

本校では、ESDと高山市教育の方針である「郷土教育」を関連付けて捉え、「生態系

の保全と持続可能な利活用の調和」をテーマとして教育活動を進めている。ESDの実践を通して、児童が地域への愛着と貢献感、また、地域の方人々と協働して生きていこうとする共生力を育成することを目標とした。

具体的には、「地域の自然保全活動への参加」「伝統芸能の体験」「荘川の誇りを学んだことの発信」を柱に、①白山ユネスコエコパーク学習会への参加②森林学習と庄川の釣り体験③民謡や獅子舞の体験④新校舎設立に向けた「夢の校舎プロジェクト」の取り組みを実施した。

高山市荘川町は、平成28年3月に白山ユネスコエコパーク(移行地域)に登録された。本校と荘川中学校は(保)小中一貫教育に取り組んでおり、ESDについては系統的に進めている。

白山ユネスコエコパーク学習会への参加

豊かな自然と生態系の保全、自然資源を活かした持続可能な荘川地域の発展をめざした教育活動に取り組んでいる。荘川支所の協力をいただきながら、岐阜大学応用生物科学部の教授や学生と一緒に、地域に生息しているミズバショウの保全活動を6年前から進めている。ユネスコエコパークに関する講話、種取網作成と取り付け体験、学校で育てたミズバショウの苗を植えかえ、定植実験を行った。

②森林学習と庄川の釣り体験

森林による水の循環の仕組みを学ぶ。稚魚放流や釣り体験を通して、清流庄川の恵みを実感し、保全への関心意欲を高めている。この活動は庄川漁業協同組合の協力で行っている。本年度は、岐阜県水産研究所の協力で、魚を保護しながら釣りを楽しむ学習会を新たに行った。

③民謡や獅子舞の体験

荘川民謡を学び、運動会で披露した。また、高学年のクラブ活動において、三味線での演奏も体験している。3年生は、獅子舞について地域の講師や中学生から学んでいる。自分で獅子頭を作り、獅子舞を練習している。

④夢の校舎プロジェクト

4年後に開校予定の義務教育学校設立により、新校舎が建設される。地域性を生かし、広い世代の町民や環境に配慮した校舎を考える学習を行った。飛騨地域の建築士会の協力を得て、SDGsを意識した学習となった。子どもたちの自由な発想が実現可能な形になり、保護者や地域住民にとっても大変聞きごたえのある提案となった。

 

 白山ユネスコエコパーク学習夢の校舎プロジェクト

(旧)高山市立庄川中学校

本校は、「桜花爛漫・飛翔若鷹 ~ひとりだちができる生徒~ 」を学校目標とし、重点3つを「確かな学力の育成」「郷土教育の推進」「適応力の向上」としている。

今年度は、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して、「個の学力を高めること、愛郷心を高めること、適応力を高めること」を目標としてきた。

「地球市民および平和と非暴力の文化」への取り組み

■シトラスリボンの意味の理解・シトラスリボン作りへの挑戦と配布(全校生徒)

  生徒会が中心となり、コロナ禍であるからこそシトラスリボンに込められた3つの輪の願いを‘家庭・地域・学校’に広めようと全校みんなで手作りのリボンキーホルダーを作り、荘川町全戸に配布した。

■「荘川中学校人権宣言」の見直し(全校生徒)

  高山市より1人1台タブレットが配布され、ICT教育が充実してきた今だからこそ、情報モラルについて今一度深く学び、生徒会が中心になって全校生徒の人権感覚について振り返り(配布アンケート)人権宣言を見直す取り組みをスタートさせた。

折り鶴プロジェクト(3年生生徒)

平和学習に取り組んでいる3年生が中心になり、早く日常生活が取り戻せるように小中学校の児童生徒や地域の皆さんに協力をいただいて折り鶴を作っている。それを支所や福祉サービスセンター、診療所などに贈り届けたいと願っている。

持続可能な開発および持続可能なライフスタイル」への取り組み

 ■後世に伝えたい宝物「荘川桜」について学ぶ~演劇:「どんが」~(全校生徒)

荘川町御母衣湖畔の中野展望台にある樹齢約500年の2本の巨桜(アズマヒガンサクラ)は元々、湖底に沈んだ照蓮寺と光輪寺の境内にあった。その巨桜が、なぜ今もなお美しく咲き続けているのかを学び、全校生徒34人、一人一役で演じる。

■「荘川桜」の歴史を地域の方と絵本作りに挑戦(2年生生徒)

前項の文化祭で演じた「どんが」を今年度の2年生が、絵本にして園児に読み聞かせようと計画している。漫画絵の得意な地域の方と一緒になって取り組んでいる。

■梅花藻(バイカモ)の保全活動への挑戦(1年生生徒)

 学校のグラウンド脇に流れる側溝に白色の梅花藻(バイカモ)が群生している。地域の梅花藻をよく知る方も珍しいと語り、保全を強く願っている。そこで1年生が水の管理や落ち葉拾い、また、保全活動を継承する看板づくりに取り組んでいる。

「異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重」への取り組み

 ■隣村の白川郷学園(世界文化遺産合掌造りで有名な村)との交流(2年生生徒)

毎年、隣村の義務教育学校白川郷学園との交流をおこなっている。自校は、R7年度より義務教育学校設立に向けて準備が進められている。その先を行く学校との交流では、悩みを共有したり、生徒会の在り方を考えたり、お互いの郷土芸能を学びあうなど、文化の多様性を学び、より一層文化遺産の尊さを学ぶことができた。

来年度の活動計画

(旧)高山市立荘川小学校

「地域一斉清掃活動」5月

地域住民と一緒に自分の住んでいる地区のごみ拾いや草刈り、側溝の土あげなどを行う。活動後はごみを分別し、地域の方と振り返りの会を行う。

「個人課題設定の追究学習」

3~6年生は、荘川町の題材をテーマにした追究課題を設定して探究する。学習の成果は2月に保護者と地域住民に発表する。題材は「自然」「郷土芸能」「生活文化」に3カテゴリーにわけ、設定テーマは多岐にわたる。また、追究過程では異年齢学習や地域人材を積極的に生かした学習過程を計画している。

(旧)高山市立庄川中学校

「豊かな創造性を備えた持続可能な社会の創り手を育成するにはー2030年の社会、学校教育を見据えたユネスコスクール活動への提言」の浸透拡充を図りたい。また、白山ユネスコエコパークにあるユネスコスクールであることを誇りに、ESD推進拠点としての活動の成果の発信、あるいは貢献できることを積極的に行ってきたい。

  • ESDを意識したカリキュラム、授業、学校運営の実践に取り組んでいく。
  • SDGs(17項目の目標)を意識したカリキュラムを作成し各授業の中で実践していく。
  • コロナ禍における学校間交流の在り方を検討し、よりよい方法を実践していく。