2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等

当校は、学校目標を「自他を大切にし、確かな学力と豊かな心・健やかな体をもち、未来を切り拓く子どもを育てる」とし、ESDの実践を通して自分で感じ考える力や、気持ちや考えを表現する力、多様な価値観を認め尊重する力、他者と協力してものごとをすすめる力の育み、さまざまな人たちと「ともに生きる」ことができる児童の育成に努めている。

具体的には、本校がこれまで取り組んできた実践に照らし合わせ、4つのテーマを柱に、①「仲間づくり」②「平和」③「文化の多様性」④「基本的人権の尊重」の学習を行った。

①「仲間づくり」

自尊感情を高め、自分を大切にしようとする態度を養い、他者とのコミュニケーションに積極的に取り組もうとする力を育てることを目標としている。本年度は1・2年生において、自分やなかまの「もちあじ」について考える学習を行った。「もちあじ」とは一人ひとりが持つ、生まれてから今までの、気持ち・身体的特徴・経験・環境など、自分をつくっているすべてを指す。いいところ・ダメなところという評価ではなく、一人ひとりが唯一無二の大切な存在であり、「もちあじ」かけがえのない宝物である。「もちあじ」は、良さ・悪さということにとらわれず、自分を見つめ、お互いを知ることにつながると考える。子どもたちは、自分やなかまの「もちあじ」を知ることで、よりお互いを認め合い、ともに生きていく土台をつくることができたと考える。

 

②「平和」

世界で起きていること、自分たちの身の回りで起きていることに関心をもち自らの考えをもって、課題の解決に向けて積極的に行動しようとする態度を育てることを目標としている。6年生は、1年間を通して平和学習に取り組んだ。修学旅行では、平和記念資料館の中を見学したり、被爆体験者の方のお話を聞いたりした。例年であれば、服のチカラプロジェクトや学習発表会など、直接、人と関わり学びを深める活動に取り組んでいるが、本年度はそれに代えて、それぞれの学習で学んだことを動画にまとめ、全学年に発信し、伝える取組を行った。

また、世界人権宣言が採択された12月10日の「世界人権の日」に合わせて、全学年で人権についての学習を行った。戦争がない状態だけが平和なのではなく、世界自由の人々の人権が守られることが平和へにつながるということを、世界人権宣言や子どもの権利条約から学んだ。

 

③「文化の多様性」

世界の様々な文化に興味をもち、人々の暮らしにちがいがあることを知るとともにちがいを認め尊重しようとする態度を育てることを目標にしている。1年生の取り組みでは、道徳科「学校へいくとき」や人権教育読本「ひと・つながり」の「こんにちは」を活用して、世界の国々のあいさつについて学習した。他には、ソンセンニム(民族講師)との交流を行った。講堂で韓国・朝鮮の遊び(ペンイ・コヌノリ・チェギチャチ・トゥホ・ピソッチギなど)を体験した。

国際クラブ「セッパラㇺの会」では、韓国・朝鮮につながりのある子どもたちが自分たちのつながりについて学んでいる。また、学期に1回行っている「外国につながりのある子どもたちの集い」では、学校にいるロシア、中国、インドネシア、ベトナム、アメリカにつながりのなる子どもたちが集まり、自分たちの国の文化について学んだ。また、児童会が行ったあいさつ週間では、世界のあいさつに挑戦し、外国につながりのある子どもが放送で自分の国のあいさつを紹介したり、年末年始の行事を紹介したりするなどの取組を行った。

 

④「基本的人権の尊重」

持続可能な社会の実現をめざして、すべての人は等しく大切な存在であるということを理解し、ちがいを認め合いながら豊かな人間関係を育もうとする力を育てることを目標としている。本校では「原学級保障」の考え方に基づき、障がいとうの有無に関わらず、みんなが同じ教室で学ぶことができるようインクルーシブな教育環境を整備し継続して取り組んでいる。

5年生の取り組みでは、車いす体験をした。事前学習として「障がい」と「病気」の違いなどについて話し合い、「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」など「障がい」は人の配慮や協力によって「障がい」でなくなることを学んだ。車いす体験では、自走体験と介助体験の両方を全員が体験した。2cmの段差ですら車いすでは乗り越えることが難しいことや、介助される際に持ち上げられる怖さを体験することができた。

また、全学年でジェンダーバイアスやジェンダー平等、LGBT、SOGIについての学習に取りんだ。毎年の積み重ねがジェンダーギャップの解消や性的マイノリティについての理解につながると考えている。

来年度の活動計画

2020年度は、コロナ禍の影響もあり、体験的な学習や学びを発信する機会に乏しかった。そこで次年度はこれまでの実践をもとに、「仲間づくり」「平和」「文化の多様性」「基本的人権の尊重」の4つの分野について、1~6年生までの系統性や関連性を見直す、より高殿小学校らしいESDに取り組んでいくことができるようにすると共に、態度や行動の変容につながるような学習づくりに努めていきたい。

また、各学期になかよし集会(人権集会)を実施することで、児童が自分たちの学習を振り返り、他の学年に発表する機会を設ける。さらに、4つの分野での取組がSDGs(持続可能な開発目標)につながっているということをより意識し、学習したことに自信を持ち、より意欲的・探求的に学習を進められるように、すごろくやカードを用いてSDGsに触れる学習を取り入れる。

全学年でジェンダーバイアスやジェンダー平等、LGBT、SOGIについての学習に関連して、学校の標準服に長ズボンを投入し、子どもたちが自分に合わせた標準服を選ぶことができるようにしていく予定である。