• そうかこうとうがっこう
  • 創価高等学校

  • SOKA Senior High School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

所在地 〒187-0024 小平市たかの台2-1
電話番号 042-342-2611
ホームページ https://tokyo-senior.soka.ed.jp/
加盟年 2025

2024年度活動報告

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

〇2024年度活動内容

創価高等学校は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成はじめ、地球規模課題の解決に寄与する世界市民の育成を目指しています。
本校の世界市民探究(GCIS)プログラムでは、「私が世界を変えていく」というビジョンを掲げ、生徒一人一人が地球規模の課題と向き合い、その解決に向けて主体的に行動できる資質・能力の育成を目指しています。このプログラムを通じて、価値創造力、主体性、負けじ魂、チームビルディング、リサーチリテラシー、課題発見力という6つのコア・コンピテンシーの育成に取り組んでいます。

<1年次の学び>

◯模擬タウンミーティング
昨年に引き続き、正解のない社会課題を私事化していくための取組として「原子力発電所再稼働について」を議題とした模擬タウンミーティングをクラス単位で実施しました。それぞれが賛成派(電力会社の代表、経済産業省の官僚、鉄鋼業界の代表、地方自治体の首長、気候変動対策の専門家)と反対派(環境保護団体の代表、被災地住民の代表、エネルギー経済学者、再生可能エネルギー、企業のCEO、医学者/健康専門家)の立場に分かれ、賛否の根拠や主張をまとめたスタンスペーパーを作成します。その後中間報告会での意見交換を通じ、反対意見への反論や、自身の主張と同意ができそうな人等を分析したうえで、民主的な手続きを通して決議書の作成まで到達することを目指します。
環境と経済という利害の衝突が発生する実社会の課題を、ニュースや統計資料などの文献を丁寧に調べながら私事化していきます。

〇起業探究(RING)
リクルート株式会社が提供する起業探究プログラム「RING!」を通じて、身近な社会課題を解決するための具体的かつ論理的な思考方法を学びました。マーケティングや財務計画の基礎知識を習得し、実現可能なビジネスモデルの構築に取り組んでいます。生徒たちは、社会課題の発見から解決策の提案まで、体系的に学習を進めています。各グループに分かれて行ったアイディア提案とプレゼンテーションの経験は、その後の探究活動の基盤となりました。

<2年次の学び>

これまで文系コースを対象に実施されていた、①企業・②大学/研究機関・③NGO/国際機関 に加え、昨年より始まった④環境サイエンス・⑤数学/情報 の2コースと、スポーツコースを加えた6つのコースを設置しました。その中で自分で探究したいコースを選択し、各コースで企業担当者や大学教授、NGO職員などの担当講師とともに1年間にわたって与えられたミッションに対して、1年間かけて設定された課題についてのアクションプランをグループで作成し、発表しました。

①大学・研究機関
SDGs課題に取り組む様々な分野の研究者の方から、現状と課題について直接指導をもらいながらアクションプランを作成します。テーマは、防災、農業、海洋、カーボンニュートラル、教育と人権など多岐にわたります。
②企業
企業経営者である卒業生から与えられたミッションにそって、企業として利益をあげつつ、社会貢献をしていくために、経営者としての視点からアクションプランを提示します。本年度は新たにシンガポールでのIT企業立ち上げなど、国際的なビジネスを意識したテーマが加わりました。
③NGO・国際機関
JICA、アジア開発銀行、世界銀行、UN Womenなどの国際機関や、子ども食堂などのNGOで働く卒業生から、それぞれの現場で抱える課題についてレクチャーを受け、解決策を考えます。気候変動と世界経済などサステナビリティに関わるテーマも複数設定されています。
④環境サイエンス
◎フィールドワークや実験など、実際に自分の手で行い、地元資料館・NPO法人など多様で多彩な専門家とタッグを組み、探究を進めました。メラミンスポンジを使っての海洋プラスチック寮の分析や、排せつ物の処理技術を応用しての環境保護、農業、医療への応用はじめ、外来種ザリガニの活用方法についてや、玉川上水の温度変化と生態系の影響の研究などがテーマとして設定されました。
⑤数学/情報
数学に関する探究では「n次方程式の複素数解がn個存在する」のように、すでに知られている定理を拡張したり掘り下げる型や、「パスカルの三角形」など、すでに知られていることについて実際に確認したり理解を深める型を使用しました。また情報分野に特化して、アプリ開発やプログラミングに挑戦したグループもありました。
⑥スポーツ
本校教科クラブである野球とサッカーをテーマに、それぞれが栄養管理やトレ―ニング方法、攻撃・守備の分析、けが予防のケアなど、実際にJリーグのトレーナーや元プロ野球コーチにインタビューを行い探究しました。

<3年次の学び>

◯「卒業探究」成果発表会
環境問題や人権問題、経済問題、身近な関心のある社会問題等々、多岐にわたるテーマから自ら設定した課題テーマをもとに、1年かけて探究を進めます。綿密な情報のリサーチと探究を経て得た成果をポスターにまとめ、セッション形式で、1・2年生や保護者の前で発表しました。

3年gcis

<フィールドワーク>

本校では、核廃絶と異文化理解を中心とした「平和学習」を促進するためのフィールドワークを中心に設定しています。

(国内)
〇沖縄スタディツアー
本年度より2年次に行われる全校対象のスタディツアーは沖縄での実施となった。講話やガマの見学、旧核兵器発射基地の見学などを通し、全生徒が平和の心を学んだ。また選択型の体験学習では、沖縄の海や自然、伝統工芸に触れる場面が設定されました。

〇長崎フィールドワーク
夏季休業中に3日間に行われ、平和祈念館の見学や、活水高校との交流などを通じて、平和の心を学びました。長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)では核軍縮問題の第一人者鈴木達治郎先生より講義をいただき、より学術的な核廃絶の課題を理解することができました。

◯広島フィールドワーク
春季休業中に2日間で行われ、広島記念資料館見学や、現地・広島女学院高校と交流会をおこない、自分たちの世代の核廃絶の連帯を高めました。批判的思考力をいかしながら核廃絶学習を行ってきた生徒たちにとって、爆地・広島でのフィールドワークは、核兵器の非人道性を理解するために重要な機会となりました。

(海外)
〇マレーシア語学研修
マレーシア公開大学で9日間に渡って語学研修を行いました。週末には現地学生のバディとの異文化交流に加えESDとして植物園の見学などを実施しました。また本年度開校となる姉妹校・マレーシア創価インターナショナルスクール(SISM)との交歓会を行い、学校間交流が加速する機会となりました。

〇フィリピンフィールドワーク
本年度より、新たな海外フィールドワークとしてフィリピン・マニラにて、「貧困と開発」「平和」をテーマとした6日間のプログラムを開始しました。スモーキーマウンテン地区と最先端のグローバルシティを視察し、急速な経済発展と貧困の共存する現状について学びました。また、これらの社会課題解決に取り組むアジア開発銀行を訪問し、活躍する卒業生から話を聞く機会を得ました。さらに、ユネスコスクール教員養成センターに指定されているフィリピン師範大学では、附属高校生との交流プログラムに参加しました。

◯クリティカルイッシューズフォーラム(CIF)
核廃絶問題研究機関をもつミドルベリー大学院モントレー校の提供する核廃絶平和教育プログラムを受講し、核不拡散に関する国際関係の枠組みや核兵器が社会に与える影響について考えをまとめ、アメリカ・カリフォルニアにて日米の高校生代表として本校生徒が校内で行ってきた各種啓蒙活動とその効果について発表しました。

(オンライン)
◯核廃絶教育特別講義
ミドルベリー大学院モントレー校による、GLPを対象とした核廃絶に関わる4つのテーマを全編英語で実施しました。トピックは以下になります。
・Nuclear disarmament and the role of civil society
・Nuclear science
・India and Pakistan nuclear issues
・AI and nonproliferation

<GLP(Global Leaders Program)>

本年度より、2年生の選抜生徒による「総合的な探究」を実施しました。生徒たちは4つのグループに分かれ、インド=パキスタン問題、グローバルヒバクシャ、CTBTO(包括的核実験禁止条約機関)、核兵器の無力化と科学者の倫理をテーマに探究活動を行いました。また、同級生たちに核廃絶の重要性を理解してもらうため、学年のLHRを活用した核兵器に関する学習プログラムや放課後の体験型イベントを企画・運営し、事前・事後のアンケート調査を通じて啓発活動の効果を測定・分析しました。

<その他の活動>

・サイエンス部ならびに希望者で科学分野の探究活動を行いました。具体的には次の5つの活動です。
①オープンキャンパスにて実験教室を開催:本校で開催した2回のオープンキャンパスにて実験教室を開催しました。オレンジジュースからのDNA抽出、ヨウ素液とレモンジュースで色が変わる実験(時計反応)、色ペンと水で不思議な模様を描く、オリジナル星座しおり作りという内容を、小学生から高校生と保護者約200名に体験して頂き、科学の面白さを共に学びました。

②企業の研究助成を受けての探究活動:公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団の「次世代研究者助成事業」に本校3年生・神保広宣さんが応募した研究テーマが採択(全国の応募者より3件が採択、研究費10万円と研究コーチによるアドバイス)され、7月より12月まで「マッキベン型人工筋肉を使ったリアルなロボットアームの開発」を実施しました。STEAM教育を体現する内容で、シリコンチューブを用いた人工筋肉やそれを制御する電子回路の作製を、マイクロコンピュータのArduinoとプログラミングを組み合わせて、ヒトの筋骨格を模した、腕相撲ができる装置の研究開発を行いました。研究成果は財団の報告会および本校の卒業研究発表会にて報告し、大学や企業の研究者よりアドバイスを頂くと共に、同世代の学校内外のメンバーと切磋琢磨しながらお互いに触発を受ける貴重な機会となりました。

③昨年度に企業より研究助成を受けた活動の継続:昨年度・中学3年時にアサヒ飲料株式会社より「サイエンスキャッスル研究費 アサヒ飲料賞2023」に採択された研究テーマ「乳酸菌は植物の成長にどのような影響をあたえるのか」について、高校1年生有志で研究活動を継続しました。廃棄物の有効活用を目指し、野菜の調理くずで乳酸菌を培養し、それを肥料としたミニトマトやエダマメ、カイワレダイコンの成長や味に与える影響を観察しました。12月に「サイエンスキャッスル2024東京・関東大会」にてポスター発表を行い、企業の方からも研究アドバイスを頂くと共に、他校の発表も聞き、お互いに触発を受ける機会となりました。

④micro:bitを用いたプログラミングの基礎を学ぶ活動:週2回・放課後に活動しました。情報科のmicro:bitと複数のプログラミングを組み合わせて、数種類のゲームを作成しました。

⑤企業や大学と連携した活動:株式会社リバネスとTHK株式会社の協力による、ものづくり探究教材「リサイクルのための自動分別ゴミ箱」を活用してmicro:bitによるプログラミング学習を希望者で実施しました。また、東北大学主催の市民科学プロジェクト「地球冷却微生物を探せ」に参加し、大気の環境改善について考え、12月と1月に土壌と気体試料を採取・提供しました。

来年度の活動計画

<2025年度活動計画>

本校は、2022年にユネスコスクールキャンディデート校の認定をいただきました。2024年度は理系クラス2年次での理数探究プログラムが軌道に乗り、また3年次での地球規模課題への多角的な探究活動も充実してきました。2025年度はこれらの取り組みをさらに発展させ、ユネスコが掲げる重点分野の一つである「持続可能な開発および持続可能なライフスタイル」に焦点を当てた個人探究研究を深化させていきます。
本年度はフィールドワークの拡充が主な取り組みとなりました。全生徒対象の沖縄スタディツアーを2025年度より日程を拡充し、平和学習と環境教育をより深く結びつけた内容で実施します。海外プログラムについては、マレーシア語学研修の再開に加え、2024年度から開始したアジア近隣国へのフィールドワークが好評を博しており、2025年度はその数をさらに増やす予定です。また、GCISでは、2024年度に新設されたスポーツコースにより、生徒たちの進路選択の幅が広がり、より多様な学びの機会を提供できるようになりました。
これらの取り組みを通じて、これまでの平和教育をより骨太にし、ESDへの取り組みも一層強化してまいります。

過去の活動報告