所在地 | 〒988-0133 宮城県気仙沼市字松崎下赤田58 |
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電話番号 | 0226-22-7800 |
ホームページ | http://www.kesennuma.ed.jp/omose-syou/ |
加盟年 | 2008 |
2024年度活動報告
生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, 環境, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野
(1) 学校全体で組織的かつ継続的にESDに取り組んできた(変容)共通理解と体制づくり
① ESDの位置付け
学校経営基本方針に「ESDのスタート校として,持続可能な社会を担う上で必要な資質・能力・態度の形成を目指し,全教育活動を通して(ホールスクール・アプローチ)でESDを推進する」と明記し,学校の根幹にESDがあることを示すことで,組織的に取り組んでいく体制を整えた。
② 円卓会議を通しての研修
毎年,本校で開催される「ESD/RCE円卓会議」を本校の教員研修の場と位置付け,全員での参加を継続することで,最先端の理論や実践,行政や企業等で行われているESDの取組につ いての情報を共有し,本校の実践に生かした。
(2)教科横断的かつ課題探究型の学習過程を重視した教育課程の編成と実践
① 教科横断的な学びにつなげる取組
昨年度までは,生活科と総合的な学習の時間を研究教科(領域)として校内研究を進めてきたが,今年度は,校内研究の教科を「国語科」とした。国語科の研修を積むことで,教科横断的な視点から,本校の強みである生活科や総合的な学習の時間の学びも高まっていくのではないかと考えた。主体的に学ぶ授業を通して身に付けたスキルを活用し,地域の自然や人々とのかかわりから得られた自分の思いや考えを自分の言葉で豊かに表現できることを目指し取り組んだ。その結果,教員の意識が高まるとともに,友達との対話を通して思いや考えを共有しながら主体的に取り組む児童の姿が多く見られるようになった。
(3)持続可能な社会のための開かれた地域・国内外でのローカル・グローバルネットワークづくり
① 面瀬中学校との連携
ESD推進拠点であるユネスコスクールとしての両校の接続・連携による取組を,見直し価値付けることで,総合的な学習の時間の充実とESDの推進を図った。小学校において地域の方とのかかわりを深め,地域のよさを実感し,その上で中学校での学びを通して具体的な地域貢献活動を行っている本地区の実践のよさに改めて気付いた。小中で連携し,9年間で児童を育てるという気仙沼ESDの新たな価値を見出すことができた。
② 地域との連携
今年度で2回目となる「6年生と学校運営協議会の方との座談会」は,面瀬地区のよさと課題について児童と地域の方が対話し,自分たちの生活やくらしの在り方を見直す機会とした。長く面瀬地区に住んでいる方から面瀬地区の変遷を聞くことができ,また,まちづくりのために努力した人々の話を直接聞いた児童は,面瀬地区のためにできることを考え,行動する意欲を高めた。
③ 波照間小中学校とのオンライン交流
6年生は,沖縄県竹富町立波照間小中学校とオンラインで交流した。全体での発表会という形ではなく,グループでの対話を重視した内容としたことで,児童は「もっと知りたい,もっと話したい」という思いをもつことができ,互いの探究心を高めることができた。海が身近にある同じような環境の学校でも,様々な違いがあることなどを実感することができる機会となった。
(4)本年度の成果と発信
① 児童は,探究的な学習に主体的に取り組んだ。特に6年生は,自分の探究課題の情報収集のために,気仙沼市内の様々な場所を訪問し,そこで多くの方と出会い,かかわることができた。課題解決のために,積極的に様々な人と交流したり,話し合ったりする力を向上させることができた。
② 教員は,児童の課題解決のために,多くの場を設定した。特に児童の主体的な活動となるためのネットワークづくりに取り組む姿が多く見られた。4年生においては,他機関とのつながりだけに目を向けるのではなく,昨年度,同じ課題で探究した1つ上の学年の児童との交流会を企画した。身近な先輩との対話は,4年生の学びを深めるだけでなく,5年生の自己有用感を高めることにもつながり,相乗効果を生み出した。このように教員は,児童のよりよい学びのために,他学年の教員と話し合い,新たな学びのスタイルを構築して挑戦するなど,積極的に行動した。
③ 今年度,面瀬地区自治会長連絡協議会の方からの申し出があり,「世代間交流会」を実施することとなった。学校と自治連の方との話合いを重ねた結果,当日は各自治会から多くの方が来し,1年生と一緒におしゃべりをしたり歌を歌ったりして交流することができた。地域の方からは「家に子供がいないので,子供たちと一緒に過ごせて,元気をもらった」など感想をいただき,児童は,自分の存在が地域の方を元気付けられることに気付くことができた。このことは「地域とともにある学校」として,常に地域との連携を大切にしてESDを進めてきた本校の成果であると考えている。さらに,この活動の様子は「面瀬まちづくり新聞」や「社協だより」に,掲載していただいた。「学校だより」や「ホームページ」だけでなく,様々な形での発信は,市内の多くの方に関心をもっていただくことにつながった。「世代間交流会」は,地域の方に教育活動を支えていただくだけが地域連携ではなく,学校も持続可能な地域づくりのために貢献することができるということを実感する活動となった。
来年度の活動計画
【次年度に向けた課題と改善策】
今年度も地域に根差した体験的・探究的な学習活動を継承しながら,児童や地域の実態に合わせた学びになるよう見直しを進めてきた。今後も,学びの系統性を再確認し,児童が主体的に取り組むことができるような単元構成や授業展開の工夫・改善を図っていきたい。さらに,児童の探究的な学び,協働的な学び,個別最適な学びを支えるために,ユネスコスクールとして学びの質を高めていくネットワークの構築も図っていきたい。
【各学年ごとの目標と具体の活動計画】
(1)3年
目標:生き物調査や飼育観察を通して,面瀬には多様な生物が生息し,自分たちが豊かな自然環境の中で生活していることに気付く。生き物図鑑づくりや発表の活動の中で環境保全の大切さを表現する。
活動計画:「面瀬の生き物調査」において,オモトープ(校内のビオトープ)や「ふれあい農園」,「面瀬川」の生き物を調べ,豊かな地域の自然を体験的に学ぶ。
(2)4年
目標:面瀬川上流域と河口域の違いを比較し,面瀬川と生活の関わりを調べたり,水辺環境を守るためにできることを考えたりして,実践的な態度を育む。
活動計画:「面瀬川調査隊」において,水質検査や指標生物の観察や流域の環境変化を調べ,環境面からアプローチする。また,冬期に河口沖でのワカメ養殖を体験する。
(3)5年
目標:海や水産業から課題を見出し,探究する。海洋環境について考えたことや漁業復興への思いを発信する。また,海と生きていくために自分たちに何ができるのか考え,実践しようとする態度を育む。
活動計画:前学年までの学習を基に川と海のつながりや人の生業について学ぶ「ふるさと気仙沼の海」を展開する。
(4)6年
目標:面瀬の地域の方々や気仙沼でまちづくりを担う方々と関わり,地域の魅力について調査したり,面瀬や気仙沼の未来について創造したりする。これらの活動を通して,自分たちと自然環境,社会とのつながりについて考えを深め,ふるさとをよりよい町にするために自分たちができることやすべきことを考え,進んで実践しようとする態度を育む。
活動計画:「ふるさと気仙沼の未来」において,これまでの学習を基に気仙沼のまちづくりについてより深く考え,行動していこうとする意識を高める。