• あいちきょういくだいがくふぞくおかざきちゅうがっこう
  • 愛知教育大学附属岡崎中学校

  • Okazaki Junior High School Affiliated to Aichi University of Education
  • 種別 地区
  • 主な活動分野環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費

所在地 〒444-0864 愛知県岡崎市明大寺町栗林1
電話番号 0564-51-3637
ホームページ https://www.oj.aichi-edu.ac.jp/
加盟年 2013

2024年度活動報告

活動分野

文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権

 本校では、生活教育を基盤とした問題解決的学習過程による授業をとおして、子どもの問題解決力を高めている。ESDを「持続可能な社会を実現するための教育」と捉え、9教科で授業研究に努めている。自分の経験や知識、社会に既に存在する考えといった既成概念にとらわれていると、変化を続ける生活や社会の本質を見極めることができない。生活や社会の変化に身を委ねるのではなく、先が見えないその変化の中で、さまざまな人の思いに心を寄せ、自分がなすべきことを考え抜くことが必要である。そこで、目ざす子どもの未来の姿を、「既成概念にとらわれず、果敢に挑戦する子ども」とした。本年度の実践の中からは、➀外国で日本語が受け入れられる現状から考える異文化理解(1年英語科)、➁犯罪加害者に寄り添い、差別・偏見を減らし、寛容な社会を目ざす(3年社会科)、➂人々の思いを灯し続ける和蝋燭の魅力を生かす(3年美術科)を紹介する。

➀外国で日本語が受け入れられる現状から考える異文化理解(1年英語科) 単元名「OMAEKAKKE(Cultural Diversity)」

 外国でさまざまな日本語が用いられていることを知った子どもは、同じような状況や思いを表現する言葉がその国にあるにもかかわらず、日本語で表現している現状に疑問を抱く。調査する中で、一つの言葉に複数の意味が込められていたり、他国にはない考え方のよさが理解されたりしたときに日本語での表現が浸透していくことを知り、「日本語で通用するものを自分たちで広めるにはどうしたらよいだろうか」という問題を見いだす。追究における外国人との交流をとおして、日本のものの有用性や環境への配慮が称賛されていることに気づく。また、誕生した背景や込められた想いや考えが伝わると相手に届くことを知る。そして、“製品や考え方に込められた想いを知った上で価値を実感する機会を設けるとよい”という考えを共有し、「外国人に使用方法を試してもらい、価値の認識を深めてもらうことで浸透させたい」「外国にない考え方を知り、日本人としての価値観を大切にしたい」「外国人の思いや考え方を理解し、日本や自分の生活に取り入れていきたい」という思いを抱き、外国人に日本の言葉をとおして思いや考え方を広めようと動き出した。

  

➁犯罪加害者に寄り添い、差別・偏見を減らし、寛容な社会を目ざす(3年社会科) 単元名「自由と平等の先に(人権と共生社会)」

 犯罪の被害者遺族が加害者と出会ってしまった事例を知った子どもは、刑期を終えた犯罪加害者の生活を調べ始める。そして、仕事や住む場所が決まらずに生活が苦しくなっていること、被害者に賠償金を支払わなければいけないこと、再犯率が非常に高いことを知る。仲間と意見を交流する中で、加害者個人の生活の困窮が再犯につながり、社会に影響があるという現状に気づき、「再犯を防ぐためにはどうすればよいのだろうか」という問題を見いだす。保護司や協力雇用主など社会復帰を促進する公的な支援を充実させること、更生支援の活動や加害者の居住について地域社会の理解を得ること、国や市の犯罪被害者等支援を拡充し、加害者の負担を減らすことを追究する。“加害者を更生、社会復帰させることは再犯を防ぎ、被害者や社会を守ることにつながる。再犯を防止するために、社会の偏見を減らすことが第一だ”という考えを共有し、「更生保護の重要性を知ってもらい、偏見を減らしたい」という思いを抱き、ポスターの作成や道徳の教科書への導入を考えて動き出した。

  

➂人々の思いを灯し続ける和蝋燭の魅力を生かす(3年美術科) 単元名「想いを照らして(伝統工芸)」

 岡崎市の伝統産業のひとつである和蝋燭と出会った子どもは、大切な人への願いや思いのもと、火が灯されることや、思いを絵つけで表現する絵蝋燭があることなどを知り、自分たちも和蝋燭の絵付けをとおして大切な人へ思いを伝えたいと考え、表現を追究し始める。しかし、思いを絵で表現するだけではなく、和蝋燭の特徴を生かすべきだということに気づく。そして、「和蝋燭の炎や形の特徴を生かすには、どうすればよいのだろうか」という問題を見いだす。和蝋燭職人への取材や仲間との対話や自己の表現を見直すなどして追究を進め、よりよい表現を模索する。その中で、上部に向かって広がっていく碇型の形状や蝋が溶ける過程を意識することの大切さ、温かみのある炎との調和の必要性などに気づく。そして、“伝えたい思いを大切にしつつ、蝋燭が短くなる過程を生かしたモチーフの配置や、温かみのある炎との調和を意識した構図や配色を取り入れるとよい”という考えを共有し、「和蝋燭を両親に贈り、自分の成長を伝えたい」「家族と火を囲んで日頃の感謝の気持ちを伝えたい」という思いを抱き、完成させた絵蝋燭をもって思いを伝えようと動き出した。

  

来年度の活動計画

 私たちの生活や社会は、著しい情報化や加速度的な技術革新、多様な価値観の広がりなどにより、今後、更に早く、そして複雑に変化し続けていくだろう。未来を生き抜く子どもには、自分と周りの人々の豊かで幸せな生活を希求し、持続可能な社会を実現していってほしいと願っている。そのためには、生活教育を基盤として問題解決的学習過程による授業をとおして、子どもの問題解決力を高めることが肝要である。
 令和7年度においても、生活教育を基盤とした学習活動を展開していく。その中で、問題解決的学習過程による授業実践を積み重ねる。令和7年10月7日(火)には、本校にて生活教育研究協議会(授業公開)を開催し、9教科の授業を公開する。そして、三河地区、愛知県内、更には全国へと広く実践を紹介していく予定である。

過去の活動報告