2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

平和, 人権

本校は「新しい道を開くもの」を学校理念として、ESDを「平和」や「地域の文化」などの側面から考えていくことを中心に、「自分の力で考え、未来を見据えていく」力の育成を目標として取り組んできた。

① 戦争と平和の歴史を通して、これからの望ましい人間関係について考える平和学習

ユネスコは、1945年ユネスコ憲章の前文において「戦争は人の心のなかで始まるものであるから、人の心のなかに平和のとりでを築かなければならない」と述べている。現在の日本にとって、「平和」は普通のことであり、空気のような存在で目に見えにくい。しかし、人類の歴史においては、人々の平和への願いとは裏腹に紛争や宗教間の争いが繰り返されてきた。

「平和」の言葉が意味する対象は、身近なところでは家族や友人間の親和的関係、学級内や学校内などの平穏な落ち着いた関係である。平和の対象をさらに広げると、安心できる地域の治安、道や国レベルの大きな地域での安全や安心、さらには近隣国との友好的関係、最も大きくは世界全体のレベルでの国際平和がある。

本校では平成24年より第2学年の宿泊研修で長崎県を訪れている。戦争と平和の歴史、核兵器の投下や戦争の実態と原因の分析、平和をつくりだしていくための努力の歴史、戦争をなくしていくための知恵や思想などを学習の中心に据えて、宿泊研修での取組を軸として教科等横断的な枠組みで平和について考える教育活動を展開している。

本活動を通して、単に戦争の悲惨さや非人間性を伝えるだけではなく、人間への信頼、人間の尊厳、平和への願いなどについての態度を醸成したいと考えている。

 具体的には、①放射線の影響と長崎に関わる講演②平和への願いを込めて全校生徒で折り鶴を制作する③文化委員を組織し、生徒通しで原爆に対する勉強会の実施④帰校後、宿泊研修で得られた知識や経験をプレゼンテーション用にレポートにまとめ、1年生を対象に座談会形式で宿泊研修の成果と課題を伝達している。1年生にとっては次年度の行事や学習活動への見通しを持つ機会となる。また、異学年交流を通して、幅広くコミュニケーションを図ることができ教育効果が期待できる。⑤平和に関わる学習を踏まえて学年生徒一人一人が考えや思いを綴る。その言葉や願いをつなぎ合わせて「附中平和宣言」を採択した。

(附属釧路中学校HPに過去6年間の平和宣言を掲載しております)

来年度の活動計画

 本校は、次年度以降も、本年の活動で報告した「平和」を中心に更なる充実した活動を行いたいと考えている。また、「平和」や「文化」の学びを軸に、人格の発達や判断力、責任感などの人間性をはじめ、他者との関係性や社会と人々のかかわりなどについて幅広く育んでいけるよう、他の視点についても教科内で取り入れ総合的な視点に立ち計画を立てていきたいと考えている。

 「平和」を視点とした取組に関わっては、平和学習が単に「戦争反対」や「平和は大切」なんだといったように短絡的な価値観や偏向しないように留意しなければならない。そのためには「平和」への考え方を教職員が押しつけないようにすることが必要であり、客観的な歴史や背景、資料を提示し、生徒がこれからの生活の中で、人とどのように関わり、所属する場所でどのように行動することが望ましいのかを判断できる資質能力を醸成しなければならないと考えている。