所在地 | 〒576-0063 大阪府交野市寺3-20-1 |
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電話番号 | 072-891-0011 |
ホームページ | https://sites.google.com/soka.ed.jp/kansaicampus/ |
加盟年 | 2017 |
2024年度活動報告
減災・防災, 気候変動, 環境, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等
本校は、1973年の開校以来、「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」との平和の信条を堅持する世界市民の育成に取り組んできました。2017年よりユネスコスクールとなり、持続可能な開発のための教育(ESD)を通し、平和に貢献するグローバルリーダーとしての①使命感、②共感力、③問題解決への創造力の育成に力を注いできました。
そのため、ESDに関わる「環境・開発・人権・平和」の4分野を取り上げ、全校生徒が数人のチームに分かれ、地球的課題の解決方法を探るGRIT(Global Research & Inquiry Time) =総合的な探究の時間の実施と、大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座UP(University Partnership) クラス、グローバル・シチズンシップ・セミナー(Global Citizenship Seminar)の開催を行っています。
今年度も上記の取り組みを通じ、「創造性豊かな世界市民の育成に向けて『学び得た知識が人生の知恵として生きる学園』に!」を目標に掲げ、各種取組等が一人でも多くの生徒たちの高校生活の学びの原点になる活動を!と取り組みました。生徒たちも世界に目を向けてみれば、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエルによるパレスチナ攻撃に関する報道が連日続く中で、「平和」について全校生徒が意識をもって学び続けた1年となりました。特に4月3日から7日までアメリカ・カリフォルニア州ミドルベリー国際大学院モントレー校で開催された「高校生による軍縮不拡散教育会議」に参加し、核問題に対する高校生の意識及び主体性向上のために、生徒主体の「Nuclear Abolition Festival(核廃絶フェスティバル)」の開催を発表しました。その後のパネルディスカッションでは、聴講者からの「平和教育をどのように他国に広げるべきか」、「核エネルギーを必要としている国に、核兵器を作らないようにどう説得するか」などの鋭い質問にも堂々と答え、終了後には他の参加校からも称賛していただきました。また12月15日に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で開催された全国高校生フォーラムには、代表生徒4人が 「核廃絶のために必要な教育とは何か?」(What Kind of Education is Necessary for Nuclear Disarmament?)をテーマにポスターセッション、プレゼンテーションを行いました。今回のフォーラムを通して、様々な問題を解決する為に一生懸命活動している他校の高校生からたくさんの良い刺激を受けることができました。また、英語でのディスカッションを通して、新たな友情を築くことができ、参加した生徒たちにとって大変充実した取り組みとすることとなりました。
【GRIT(Global Research & Inquiry Time = 総合的な探究の時間)の取り組み 】
GRITにおいては「地球的課題のリサーチと探究」というテーマのもと、学年に応じた取り組みを行っている。
(高校1年)
・1年次は「環境・開発・人権・平和」の4分野に関わる地球的課題を提示して、学び考えるプログラムを中心としている。(インプット中心)
今年度は「環境」においては、「気候変動」をメインテーマとし、2006年の「不都合な真実」という気候変動に関するドキュメンタリー映画を視聴した後、気温が上昇し続けるこの世界において、気候変動の緩和策だけではなく、私たちが身近にできる適応策についてディスカッションを行った。
「開発」は「世界がもし50人の村だったら」を40人程度のクラスの生徒数に置きかえたプログラム、フェアトレードを学びながらの貿易ゲームを行い、「もっと世界を知り、人々がどんな生活を送っているのかを知りたい、学びたい」という探究心を養うことができました。
「人権」は自分たちの理想な町づくりをした後、その町が「世界人権宣言」や「子どもの権利条約」に則った街づくりができているかを検証するワークを行いました。さらには、「人権の社会モデル」と題して、様々な人権事例をもとに、問題を人権被害にあっている人々自体に求めるのではなく、その周りの環境などに求めることで、身近から実行できる人権の尊重・保護について学び合いました。
「平和」はAI兵器、核兵器に関しての最新事情について学び深めることができました。
また今年度も、これらの4分野に通底するであろう「構造的暴力」とは何か?といったことも学んだ上で、自分たちが身近にある構造的暴力を発見し、どの様にしたら解決できるのかということを考える中で、自分たちの生き方を見つめ直す授業も展開した。
学年末は、地球的課題から離れ、リサーチや探究の方法を学び、自分たちの身近なリサーチクエスチョンについて、文献を基に調べて発表するプログラムを行う予定にしている。学年間交流を行い、2年生の活動をポスターセッションを通じて学習する予定にしている。
(高校2年)
・2年次は1年次に行った地球的課題の中でも、SDGsを中心としたリサーチクエスチョンを作成し、探究活動を進めます。そのリサーチクエスチョンを1年間深め続けて、学年末に後輩に1年生を対象にした発表会を行うプログラムを予定しています。(アウトプット中心に移行)1学期は「Our SDGs」をテーマに、身近な興味・関心からグループで協力しながら探究し、深めていく中で、新たな「問い」を見出すとともに、SDGsをより身近に感じらながら、グループでリサーチクエスチョンの仮説を立て、SDGsの取り組みに挑戦しました。
2学期は本年度もはそのリサーチクエスチョンを深めるため、創価大学の教授陣に協力をいただき、オンラインでプレゼンテーションを行い、様々なアドバイスをいただく機会を設けました。また、各専門分野の人にインタビュー等を行うオンラインフィールドワークを、グループごとに実施しました。発表直前には、大学院生にも協力をいただき、発表の中身や方法などのレクチャーをしていただいた。最終的には3月に1年生に対しポスターセッションを開催し、自分たちの成果を後輩に伝える予定にしています。
(高校3年)
・3年次は「模擬国連」を通じ、『合意形成~自分の国も他の国も納得する解決策~』を目標に、合意形成を目標とするプログラムを学習する。各クラスでグループごとに、担当国の大使となりその国の全国民の責任を担う立場に立ち、議題に従ってリサーチを行い、自国の現状、立場を明確にする。そして、問題の解決策「政策(クローズ)」を考える、という流れで学習を進める。今年は、「ウクライナの子供の⼈権状況」をテーマに、2クラス合同で20カ国の仮想国(1つに国に4名)に分かれ、国際課題に関するシミュレーションを行いました。今年は2クラスごとに20カ国のグループで模擬国連を開催した。活発な議論が交わされ、各人が世界の諸課題と国連の仕組みについて理解を深めた。
【UP(University Partnership) クラス(大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座)の取り組み】
・1月 「日本赤十字社の活動について『核兵器禁止条約締約国会議』に参加して」
日本赤十字社職員 佐藤美樹氏(開発分野)
・2月 「子どもの権利に関する啓発活動について 子ども家庭庁での仕事について」
セーブザチルドレンアドボカシー部 兼子ども家庭庁アドバイザー 西崎萌氏(教育分野、開発分野)
・5月 「「平和の文化」と人間の安全保障-危機の時代に平和を考える-」
創価大学・中山雅司教授(平和分野)
・6月 「平和をあきらめない!シリアをまた行きたい国にする」
特定非営利活動法人 Piece of Syria代表理事 中野貴行氏(平和分野、開発分野、教育分野)
・7月 「国際社会で活躍する人材に!自分にしかない道を切り拓こう!」
外務省国際法局経済条約課長 間瀬博幸氏(開発分野)
「直観力を疑え!」「経済学って何だ?」経済学・統計学入門(連続講座)
経済産業研究所研究員;東京大学特任講師 藤井大輔氏(開発分野)
・9月 「未来を創るのは君だ! 」~NPOで始める社会貢献~
NPO法人 ドットジェイピー 土口紗英氏、岸下萌花氏(開発分野)
「人文学って何の役に立つの?」~SUA で” Humanities “を専攻して~
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程 長嶺裕貴氏(開発分野)
・12月 「平和~平和構築について考える」
ケニア日本大使館、国連開発計画 (UNDP)スーダン事務所、JICA南スーダン事務所 吉田祐樹氏(平和分野、開発分野、教育分野)
【LC(Learning Cluster)の取り組み】
1学期では、「核兵器廃絶」をテーマに、ディスカッションやプレゼンテーションを通じて学びました。夏には、東京フィールドワークを実施し、専門家や被爆者とのセッションを通して理解を一層深めました。2学期には、1学期の学びを基にし、グループを編成して5つのリサーチを計画しました。カナダのゲルフ・ハンバー大学のリサーチアシスタントも各グループに参加し、共同研究が始まりました。5回にわたるオンライン交流会を通じて、ゲルフ・ハンバーの学生たちと共にグループリサーチを進めることができました。3学期には、海外フィールドワーク、小学校訪問、ゲルフ・ハンバー大学の来校、そしてオンラインシンポジウムを通して、研究の成果を発表する予定です。
【国内FW、海外FWの実施】
・開発FW(東北)(2024年3月実施)
環境保全を実現する、持続可能な「生命尊厳の開発」の在り方について考え、東日本大震災が起きた東北を訪れ、実際に見て触れて全身で感じながら、震災の歴史と防災への知恵、そして生命を守りゆく誓いを深く心に刻んでいくことを目標に、フィールドワークを実施しました。2泊3日の行程で、14名が参加しました。将来起こりえる南海トラフ地震の被害を最小限に抑えるためにどのような備えが必要なのか、どのような防災教育・減災教育を行うことで震災への対策を促すことが可能かを探究活動のテーマとしました。初日は東北大学、福光みらい館を訪問。2日目は主に官公庁を中心に仙台市役所、TBM多賀城工場、女川町役場を訪問。最終日には、巻南浜津波復興記念公園(がんばろう!石巻看板、石巻市慰霊碑、みやぎ東日本震災津波伝承館)やMEET門脇、震災遺構門脇小学校を訪問しました。
・平和FW(東京)(2024年7月実施)
LC(ラーニングクラスター)メンバーを中心に、20名が2泊3日の行程で、東京フィールドワークを開催しました。初日は交通事情もあり、急遽オンラインでの開催となりましたが、東京海洋大学と連携をとり、海洋プラスチックごみの現状を学習しました。大幅に遅れて到着した東京では、ケニア日本大使館、国連開発計画 (UNDP)スーダン事務所、JICA南スーダン事務所に勤務経験のある吉田祐樹氏より体験を通じて平和構築へのアプローチに関する講演をいただいた。2日目には、Save the Children(ロヒンギャ難民)、在日韓人歴史資料館(在日韓国人に対する人権侵害)を訪問。浅草で外国人観光客にインタビューをするなど、様々な活動に取り組みました。また気候変動適応センターを訪問し、「気候変動へ”適応”するという概念」を学びました。最終日には京都大学特任講師でおられる近藤哲生氏より平和構築についての講演をいただきました。民主音楽協会、SGI平和運動局を訪問し、音楽を通じての平和活動や、核廃絶への取り組みについて学習しました。
・平和FW(広島)(2024年8月実施)
「核廃絶をはじめとする平和の実現に向け、あなたは何を始めますか?」をテーマに、広島市内を中心にフィールドワークを開催し、1泊2日の行程で20名が参加した。
主な目的として、核兵器及び戦争の悲惨さを学び、廃絶へ向けて自分たちにできる解決策を模索し、広島女学院主催のPeace Forumに参加し、同世代の人々と意見交換する中で、平和の連帯を築き、強め、世界平和を担う世代としての意識を高めることができた。
実際に被爆した現地を訪れそこに住む人の心を感じ核廃絶への決意と希望を抱くことができた。初日には広島女学院にてPeace Forumに出席し、2日目には広島平和記念式典に参加しました。
・環境FW(滋賀)(2024年7月末実施)
『「生命尊厳」の基本となる 綺麗な水 豊かな土 澄んだ空気 美しい自然を守るために 私たちには何ができるか』をテーマとして、綺麗な水、豊かな土といった、生物にとって必要不可欠なものについて直接見て触れる体験を通して、教室での環境学習をより深化させること、循環型の農業や生活様式の具体的な事例を知ることで、今後探究活動を進める上でのモデル・手がかりとすること、そして「食の安全」の問題について理解を深め、生命尊厳の哲学を具体的な実践まで落とし込み、生活に直結する「生きた学び」を実現することを目標に、琵琶湖周辺を中心に23名が参加し、2泊3日のフィールドワークを実施した。
・平和FW(アメリカ:CIF参加)(2024年4月)
カリフォルニア州ミドルベリー国際大学院核不拡散研究所主催のクリティカル・イシューズ・フォーラム(高校生による核不拡散会議)に代表生徒2名が参加し、核問題に対する高校生の意識及び主体性向上のために、生徒主体の「Nuclear Abolition Festival(核廃絶フェスティバル)」の開催を発表しました。その後のパネルディスカッションでは、聴講者からの「平和教育をどのように他国に広げるべきか」、「核エネルギーを必要としている国に、核兵器を作らないようにどう説得するか」などの鋭い質問にも堂々と答え、終了後には他の参加校からも多くの称賛の声をいただきました。
【国際デーの取り組み】
・6月5日 世界環境デー
節電を通してCO2削減に挑戦し、気候変動の問題に関心を持つよう取り組んだ。気候変動の問題を解決するために自分に何ができるかを考え行動を起こす契機とすることを目的とした。今年は6/10-14の5日間、節電習慣として設定し、各クラスの生活委員を中心に取り組みました。欠課は昨年設定した期間よりも最高気温が4.5℃も気温が上昇していたにも関わらず、電力量は444kW/h減少。お金にして昨年より5844円と節約することができた。
・9月29日 食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー
まだ食べられる食品を廃棄せず、必要としているところへ届ける「フードドライブ」に取り組んだ。今年は期間を9/17~20に設定し、昼休みに回収場所を職員室前に設定し実施した。寄付された食品は地元交野市に届け、大阪府内の子ども食堂(交野市内では現在5か所が対象)やシングルマザー支援団体に配布された。
来年度の活動計画
① 「環境・開発・人権・平和」に関わるGRIT(総合的な探究の時間)では、SDGs(持続可能な開発目標)の中からコアなテーマを見つけ、数名のチームで行う探究活動をさらに活発にしてまいります。恒例の3年生全員による学年模擬国連は継続して開催したいと思っています。GRITの集大成となり得る、価値あるものにしてまいります。
② UPクラスでは、新たな分野、新たな講師、新たな提携大学等を開拓し、参加者増を目指します。
③ フィールドワーク(広島・東北・海外)をさらに充実させてまいります。授業とリンクさせ、生徒が企画・立案したフィールドワークを実施します。
④ 地元交野市の中高生とともに核廃絶署名、里山保全活動など、地域を意識した取り組みを行います。
⑤ 世界のユネスコスクールとのネットワークを活かす取り組みの1つとして、他校と交流・連携して「環境・開発・人権・平和」に係るイベントを開催します。
⑥ SDGs達成に向けた活動をさらに充実させてまいります。