2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境

板橋第二小学校は平成30年に「ユネスコスクール加盟校」として認定されました。また、環境都市宣言をして設立された板橋区立エコポリスセンターより「子ども環境大使」に任命されました。本校では、8年前に児童と地域が一体となって作成した「ビオトープ(15㎡×2カ所)」を中核に据えた環境教育を展開しESDを推進しています。

板橋第二小学校の学区域は、板橋ジャンクションの真横にあり、自然が大変少ない環境です。蝶の幼虫やオタマジャクシを見たことがない児童がたくさんおり、自然体験・生活体験の度合いに差が大きいという児童の実態(課題)がありました。
そこでこの課題を解決するために、平成24年度より「環境教育」の推進を図ることとし、まずはビオトープ(15㎡)を二カ所、校庭に作成してクロメダカを放流しました。次に、蝶の幼虫の食草を植えたバタフライガーデンを作成しました。さらに、鳥の巣箱を設置したり、腐葉土コーナーを設置してカブトムシの住処を作ったりと、児童を取り巻く環境を児童自身の手によって創り上げていくことから始めました。環境教育を中心として展開するESDの活動テーマは「豊かに感じ、自分で考え、行動しようとする児童の育成」です。人は、何かを考えたり、発言したり、行動したりする際は、これまでの生活体験をもとに計画をします。人の考える力や行動する力の土台となる部分(児童を取り巻く環境)を豊かに整備し、登校から下校まで身近に自然や生き物と触れ合える学校にすることで、命を感じ大切にすることのできる児童、豊かな感性や人間性を身に付けた児童を育てることができるのではないかと考え、ビオトープなどが作られました。現在も、継続して「ビオトープを中核に据えた環境教育の推進」を学校理念の一つとして、学習活動を展開しています。

具体的には、①ビオトープを活用した学習活動(全学年)、②環境委員会を中心とした学習活動(5、6年)、③家庭や地域との連携、等を行っています。

① ビオトープを活用した学習活動(全学年)
・「季節の俳句」
春、夏、秋、冬の合計4回、校内の自然を、様々な感覚を用いて体感し、感じたことや考えたことを俳句に書きます。全学年が廊下へ掲示します。

・「自然発見カード」
年間4回(今年度は緊急事態宣言による休校のため、夏秋冬の3回)、校内の自然を観察し、自分の思いや考えを文章と絵で表現します。全学年が廊下へ掲示します。

・「ビオトープ保全活動」
経年劣化が進んでいるビオトープですが、修繕を重ね環境維持に努めました。手作りの柵や手すりは、橋を補修し、児童が安全に活動できるようにしました。ビオトープの底に敷かれている防水シートも劣化により水漏れがあったため、児童と教職員で協力し赤玉土や石を投入しました。赤玉土には浄化作用があるため、水質も保たれます。水生植物の育ちも良く、メダカが生き生きと泳ぐようになりました。昨年度購入したひょうたん池には、ミズトラノオやフイリヒメガマなどの水生植物を植えてヤゴの住処とすることができました。夏の終わりには、数種類のトンボも見ることができました。

② 環境委員会を中心とした学習活動(5、6年)
・「バタフライガーデン(蝶の幼虫の食草を植えた花壇)」
蝶の幼虫は食草が決まっています。どんな蝶を呼びたいか考え、食草を植えました。ミカンの木を植えるとアゲハチョウが産卵し幼虫が見られました。パンジーの花を植えるとツマグロヒョウモンもやってきました。幼虫は3年生に贈り理科で活用しました。今年度は、レモンと金柑の木を植えました。木の水やりを児童は毎日行いながら、アゲハチョウの育っていく過程を自然に生息する姿で観察することができました。

・「鳥の巣箱」
老朽化した巣箱は、新しいものに取り替えました。古い物を撤去すると、巣箱の中には、鳥が営巣した落ち葉や枯れ木がつまっておりました。巣箱を取り付ける場所を児童が鳥の様子をもとに考え、校庭に15カ所設置しました。

・「ビオトープ アクアリウム」
普段児童がビオトープを観察する際、上から見下ろす格好になり中の様子までは十分に見ることができません。そのビオトープの環境を水槽に再現し、ビオトープに住む生き物を入れ、横からビオトープの様子が分かるようにしました。児童が進んで、資質の管理をしたり、生きものの日々の様子を楽しみながら観察することができました。

③ 家庭や地域との連携
・「子ども環境大使」としての成果の発表
板橋区立エコポリスセンターにおいて、令和2年度のユネスコスクール認定校としての取組の様子を紙面発表しました。第1学年から第6学年の取組(9つの実践例)を紹介しました。

 

・「ニリンソウ」の植樹
板橋区のシンボルフラワー(区の花)は「ニリンソウ」です。本校には一輪も生えていなかったため、東京都内で最大のニリンソウ群生地でもある「板橋区立赤塚植物園」から3株分けてもらい、ビオトープの木陰に植えました。春に美しい花を咲かせました。

・「コミュニティガーデン」
本校には、「コミュニティガーデン」という、地域の方の協力により整備されている花壇があります。色とりどりの花が季節ごとに美しく咲き、児童に人気のある場所の一つです。パンジーの花にはツマグロヒョウモンがやってきます。

・「NPO法人センス・オブ・アース」等の出前授業
板橋区のエコポリスセンターの先生方や、NPO法人センス・オブ・アース理事長の寺田茂先生による出前授業を行いました。1年生では、「かぜとなかよし」、「木の顔をつくろう」、3年生では「綿を育てよう」という授業を実施し、ビオトープや畑で育てている植物を活用して学習をしました。

・「地域清掃」
年間3回、地域の方々の協力を得て、全校児童が地域清掃を計画していましたが、今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となりました。奉仕体験活動を通して、地域に根ざした教育の展開、地域を担う人材の育成を図っています。

来年度の活動計画

板橋第二小学校は、大規模改修工事が見込まれておりますが、それまでの間も引き続きビオトープを活用した教育活動を続けていきます。老朽化への対応をすることは、動植物の命を守ることに繋がります。児童、教員そして地域と連携し、維持管理が重要となっています。
①ビオトープの維持管理、②環境教育の確実な引継ぎと取組実践の拡大 を中心に展開しています。

 

①ビオトープの維持管理

・予算の確保
修繕を行うことだけでなく、必要に応じて形態を変化させていくことも環境の維持に繋がります。池の浄化する赤玉土の追加、防水シート剥離防止のための田んぼ土の投入、水生植物、の購入

ビオトープを管理するための道具の購入等

 

・人材の確保
学校地域支援本部コーディネーターの方と連携し、保護者の会である親二会の力を借りながら、「いつ」「どのタイミングで」ビオトープの補修を行うか、引き続き計画を立てていく。

・環境委員会の活用
環境委員会によるビオトープの維持管理を継続していく。(池の藻の除去、オタマジャクシやメダカの管理、鳥の巣箱の管理、腐葉土コーナーの管理、バタフライガーデンの植樹、児童朝会での啓発、等)

環境に関する知識を身に付け、学校でできる環境保全への取組の紹介

 

②環境教育を中心としたESDの引継ぎ

・「環境教育全体計画」「環境教育年間指導計画」の見直し
板橋区教育委員会への教育課程届け出の際は、どの教員が担当となっても今年度と同じように環境教育を中心としたESDが展開できるよう、計画を見直し修正する。

・板橋区オリジナルの環境教育プログラムの活用
板橋区では「保幼小中一貫環境教育カリキュラム」「テキスト『未来へ』」を全学校に配付。より一層の活用を図っていく。