所在地 | 〒002-8075 北海道札幌市北区あいの里5条3丁目1-11 |
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電話番号 | 011-778-0481 |
ホームページ | https://www.hue-fsj.ed.jp/ |
加盟年 | 2010 |
2024年度活動報告
減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 健康, 食育, 貧困
本校は、小中一貫で「グローバルな視点」からの児童・生徒の育成を目指しており、学習指導要領に示されている持続発展教育を実施しているが、各教科等の学びを統合したり、有機的に関連付けたりすることを意図的に行っている。そうすることで生徒自身が持続可能な社会の構築に向けての当事者意識をもつものと考える。
それには、教科等で培った持続発展教育に関する知識・理解等を、総合的な学習の時間や特別活動の時間を利用して行動化することが大切である。教育活動全体で持続発展教育に向かう共通理解を、生徒と教師、保護者、地域・社会に図ることになるからである。必要な教育資源(様々なネットワーク、実践資料等)を獲得し、その意義を共通理解しながら生徒とともに活動に取り組んでいる。
➀生徒会活動におけるユネスコスクール活動
本校は、生徒会活動において、ユネスコスクールの4つの基本分野に基づいた委員会活動を推進している。具体的には、「ユネスコスクール活動認定」として、ユネスコスクールの4つの基本分野に基づいた委員会の活動を表彰し、全校にユネスコスクールの理念および取組について校内放送等を通じて発信している。
コロナ禍を機に見直し、精選した活動に継続して取り組むことができた。環境教育の推進に関しては、今年度も、チョークの粉からチョークを作るリサイクルを実施した。
異文化理解教育の推進に関しては、委員会活動の一環として、諸外国のスポーツを紹介、日本語の起源や、諸外国における日本文化が取り入れられた例を紹介、諸外国の民族衣装の紹介などの広報活動を行い、取り組みを継続した。
地球規模の問題に対する国連システムの理解については、開発途上国の現状を伝える本をはじめとした学校図書館におけるESD特設コーナーの設置、開発途上国の問題を周知するプリントを作成、配布実施した。
健康に関しては、保健委員会による健康観察への呼びかけを行うことや、各学級に二酸化炭素濃度計・温度計を設置し、適宜室温の調節や換気を行うようにした。その結果、引き続き全校的に健康維持への高い意識を継続し、季節や気温に応じた服装やマスクの脱着、睡眠時間確保の取組みなどに、生徒自身が注力するようになった。今後も継続して行いたい。
➁社会参画力を育む総合的な学習の時間の実施
当校は、変化の激しいこれからの社会において、地球的な規模の問題や課題の解決に向けて、英知を結集して取り組むことができる人材の育成を目指している。よって、これからの社会の問題やその在り方について着目したとき、社会で必要とされる資質や能力、持続可能な社会の構築に向けて自らが参画していく力や態度、いわゆる社会に参画する力が求められる。
これらを踏まえ、社会参画力を育成する総合的な学習の時間を実施している。生徒は、自らの興味・関心に基づいた課題を設定し、インタビュー活動や他者に発信する探究的な学習を行っている。コロナ禍においてオンラインでのやり取りを活発に進め、活動してきた実績を生かし、直接見たり話したりして得られる実感が大切な場合は対面式を、遠方の方や日程調整が難しい方と関わりたいときはオンライン式を実施するなど、目的や状況に合わせて選択することができた。
3年生の総合的な学習の時間では、SDGsの17の目標との関わりの中から、どのような社会問題が身の回りにあるのかを考え、その上で生徒が個々の課題を設定した。個々の興味関心のある課題を17の目標から設定できたことで、多様な問題を生徒同士が交流し、自分にはなかった視点への気付き、自分が興味のなかった目標について考える意識が生まれたことを実感している。特に、ジェンダー・環境・異文化理解等、ユネスコスクールの四つの分野とも関連するテーマについて研究する生徒もいた。1年生の総合的な学習の時間でも、対象は身近な地域社会だが、環境をテーマに研究した者も多く、今後その範囲を広げていく土壌が形成され始めていると思われる。
1年間の学習を終え、生徒は、当事者意識をもち、理想とする社会の実現のために自分たちにできることを具体的な行動で述べてようとしていた。研究の課題に対する結論を自分ごととして捉え、実生活で実践できることを伝えようとしている姿から、社会の一員として一翼を担うことの意識や態度を身に付けていたといえる。引き続き継続して行っていきたい学習活動である。
➂旅行的行事におけるESDとの関わりを意識した学習
今年度は第1学年において、学校行事で野外学習を実施する際、地域の環境や現状を観察し、自分たちができることを考えるための契機とした。
➃学校給食における異文化理解
昨年度までは、年に数回、世界の国々の料理を提供する日を設けていた。その中で、その料理の特徴や、どのように食べられているかについて給食だより等で生徒に周知することで、世界の食に対する理解を深める取組を行っていた。今年度は、より生徒が身近に感じてもらえるように、「物語給食」と銘打ち様々な地域の創作作品に出てくる料理と関連するものをメニューに採用し、食と文化を味わう取組を行った。例えば、「アルプスの少女ハイジ」をテーマに、「白いパンとチーズ、星のミネストローネ、星のハンバーグ」を提供し、給食だよりでスイスについて紹介した。
⑤英語科における活動
1月15日、インドネシアの中高生とのオンライン交流会を行った。本校生徒第2学年約100名、北海道教育大学の大学生約20名、教育大学インドネシア中高生400名程度が参加した。はじめに、大学生による北海道の文化、冬の景色紹介が行われ、中学生は画像や映像を頼りに大学生の英語を聞いた。その後、小グループごとに分かれ、インドネシアと日本の交通事情やゴミの分別に関して質疑応答を行った。インドネシアの中高生からは「日本は交通が発達しているのに、なぜ歩いて登校するのか」「七夕とはどのような文化なのか」といった質問が出されました。2年生は、単語を調べたり、聞きなおしたり、チャットを活用したりするなど、なんとかコミュニケーションを図ろうとする姿が見られた。
交流会後の振り返りでは、「当初はごみの分別方法などを聞かれると思っていたが、ごみを出す時間や場所など、前提から伝える必要があり、自分たちの文化と相手の文化の違いに驚いた」といった声があった。自分のもっているリソースを最大限活用して異文化理解を図る生徒の姿から、普段の授業だけでは得られない貴重な体験となったと感じている。
⑥音楽科における活動(予定)
音楽科では「音楽の歴史をたどろう」をテーマに、ピアニストを招いて授業を行うことを予定している。
クラシック音楽の起源となったヨーロッパ、ローマ・カトリック教会で用いられたグレゴリオ聖歌を皮切りに、人々の生活の様子と音楽がどのように結びついて変遷してきたかをピアノの生演奏とともに体感することをねらった。
神を讃える宗教のものだったところから、貴族・宮廷の楽しみとして娯楽要素を含み徐々に世俗的になり、革命の到来とともに一般市民の物となり広まっていく音楽の様子は、まさに日本とは違う「異文化」の中から起こりえたものである。しかし、全く違う文化から生まれたクラシック音楽は、今や日本にもすっかり根付いている。普段あまり「異文化」を感じることなく触れていたものの本質を、実際の演奏とともに実感することを期待している。
来年度の活動計画
来年度の活動計画
生徒会活動におけるユネスコスクール活動を生徒が計画・申請する仕組みについては、次年度も継続して実施していく。加えて、活動の計画・検討・承認による全校生徒の意識の向上だけでなく、生徒会の組織の一つである、放送専門局と協力して、全校へのユネスコスクールの4つの基本分野を全校に周知する活動などを実施することで、自分の所属する委員会以外の活動に対しても意識を高めることができるような取組を実施していきたい。
今後もSDGsを切り口とした学習活動を各教科で行っていくことで、社会問題を自分事として捉え、持続的に目標に向かっていけると考えている。
また、3年生の総合的な学習の時間においては、次年度はSDGsの17の目標との関わりの中から、どのような社会問題が身の回りにあるのかを考え、その上で生徒が個々の課題を設定できるような単元計画を考えている。さらに、1年生ではその下地となる身近な社会について課題を考え、3年生でより充実した学習が実現するよう土台作りをしていきたい。その他、学校行事や委員会活動においても17の目標を意識することで、自分たちが今行っていることがどのような社会問題と関わっているのかを意識しながら学習を行うことができる。