• ひろしまけんりつひろしまこくたいじこうとうがっこう
  • 広島県立広島国泰寺高等学校

  • Hiroshima Prefectural Hiroshima-Kokutaiji High School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野登録なし

所在地 〒730-0042 広島県広島市中区国泰寺町1-2-49
電話番号 082-241-1537
ホームページ http://www.kokutaiji-h.hiroshima-c.ed.jp/
加盟年 2009

2024年度活動報告

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, その他の関連分野

本校は、「質実剛健・礼節気品・自治協同の精神を継承し、人格の完成をはかるとともに、平和で民主的な国家及び社会に寄与する人材を育成する」ことを教育理念とし、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して、「国際社会の平和と発展のために活躍できる人材」の育成を目標としている。

1.「総合的な探究の時間」における探究活動・学習活動

① 普通科普通コース「夢探究」

令和3年度末に指定期間を終えた文部科学省のワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業(以下WWL)を通して、本校の3年間を見通した探究活動のカリキュラムは完成した。本年度はこれまでの内容をさらにブラッシュアップさせながら、総合的な探究の時間の充実を図っている。

第1学年は、まず「平和」に対する意識づけを行うため、年度初めに実施するミニ探究活動のテーマを戦争のない「狭義の平和」とし、一人ひとりが問いを立てた。その検証過程では平和祈念資料館を訪問し、平和に対する各自の考えを持つことができた。その後SDGsカードゲーム体験を経て、「〇〇×SDGs」というテーマに沿って、企業や行政からの協力を得ながら社会課題と解決に向けた取組を学んだ。コアとなる第2学年では第1学年での学びをもとに、生徒一人ひとりが探究課題を見出だし、その解決をめざす提言を考えた。その成果は、1月末に課題研究成果発表会で広く発信する予定である。第3学年では発表した内容を研究論文にまとめた。また、3年間の課題研究で経験したことを言語化し、自己の成長をメタ認知するため、1枚のポートフォリオ「私の学びの木」を作成した。さらに、課題研究の後悔や課題についても「後輩への提言」として文章にまとめ、研究論文と併せて探究学習のまとめとした。

② 普通科理数コース「理数探究」

令和4年度から新設教科「理数」を設定し、「総合的な探究の時間」を読み替え、これまでの取組を引き継ぐ内容で、第1学年で「理数探究基礎」、第2、3学年で「理数探究」を履修した。第1学年は、小グループに分かれて「分野別ミニ探究」を体験し、物理・化学・生物・地学・数学の5分野における科学的な探究方法を学んだ。夏休みには、島根県三瓶山周辺での自然体験合宿を実施し、三瓶自然館サヒメルの見学や天体観測、放射線や地層の観察を行い、自分で設定したテーマで探究レポートを作成・発表した。豊かな自然に触れることで、自然への興味・関心を高めるとともに、自然を探究する方法を学んだ。また、大学から講師を招き、「サイエンス講座」を定期的に実施した。グループワークや実験を通して科学研究の進め方等を体験的に学ぶことができ、その後の探究活動に生かすことができた。3学期には興味・関心のある分野を選択し、自分で設定したテーマでグループを再編成して研究をスタートする予定である。

第2学年の活動には英語科の教員も加わり、本格的に研究を進めると同時に広島大学の留学生などに英語で研究を発表する機会を持った。修学旅行先であるハワイでは、現地の高校生に各自の研究を英語で発表し、また現地の自然を活用した伝統的な航海術や火山のしくみなどについて学習した。

第3学年はプレゼンテーションやグループディスカッションを通して自己の研究内容をブラッシュアップし、研究論文を作成した。作成した論文は外部のコンクールへ出品した。

2.学校設定科目(グローバル平和探究)における学習活動

本校ではWWLの指定を受けて開発した、SDGsと関連する世界の課題について文理融合の教科横断的な学習を行う学校設定科目「グローバル平和探究」を設けている。本年度は「都市・貧困問題」「エネルギー問題」「エリアスタディ」の3分野を扱い、地理歴史科・数学科・理科・外国語(英語)科で学んだ内容をもとに、様々な活動を行いながら理解を深めている。

「都市・貧困問題」では、途上国の貧困層(BOP=Base of the Pyramid)を対象とした起業アイデアについて考え、「BOPビジネスプラン」を作成した。生徒は、各教科からの授業内容と評価規準を基に、グループで対象国を決め、ビジネスプランの作成を進め、完成したプランの発表会を行った。BOPビジネスのような、途上国の貧困層と支援する側との間にwin-winの関係が築けることが持続可能な支援には必要であると認識する機会となった。発表会で得た気付きを基にアイデアをまとめ直し、日本政策金融公庫主催による「第12回高校生ビジネスプラングランプリ」に応募した。

「エネルギー問題」では、世界・日本のエネルギー消費の現状と課題を基にディスカッションとディベートを行った。生徒は、化石燃料、再生可能エネルギー、原子力エネルギーについて前述の4教科から説明を受けたり、外部講師による講演で、脱炭素社会を目指して、先進国各国が取り組もうとしているエネルギーミックスと原子力との関係などについて学習したりした。単元の最後のパフォーマンス課題として実施されたディベート大会では、「日本は2050年までに原子力発電所を廃止すべきである」というテーマに対し、肯定(廃止)と否定(存続)の両方の資料・考えを準備して「試合」に臨んだ。ディベートを通して、議論をどのように進めるかを経験し、原子力発電に関する是非双方の様々な視点から資料を探ることによって、知見を広げ、新たな考えを持つことができた。

「エリアスタディ」では、世界各国における社会課題について考えた。広島大学大学院の協力を得て、留学生に英語でインタビューを実施し、生徒はそれぞれの留学生の母国が抱える社会課題の聴き取りを行った。その課題も参考にしながら、個人で一つの国や地域の課題について調査を進め、レポートにまとめる予定である。

3.国際理解に係る学習活動

① 米国姉妹校(BCA校)との交流

本校の姉妹校であるBCA校(Bergen County Academies, 米国ニュージャージー州)と、SDGsや科学研究分野における探究活動の交流会を毎年行っている。昨年度末には本校の生徒6名がBCA校を訪問し、各自の探究活動の成果発表を行った。今年度は探究活動の成果発表及び意見交換を、令和7年1月31日に本校で実施する予定である。BCA校の生徒及び教員14名が来校し、発表会に参加する。お互いの研究について共有する機会となるため、英語での研究交流を通して国際的視野を広げていきたい。

② 米国姉妹校(モアナルア高校)との交流

普通コースの第2学年が姉妹校であるモアナルア高校(Moanalua High School, 米国ハワイ州)を訪問した。本校の生徒はよさこい踊りを、モアナルアの生徒はフラダンスをそれぞれ披露し、文化交流を行った。校内を案内してもらったり、食堂で一緒に食事をとったりし、英語でのコミュニケーションを楽しんだ。この度の交流では互いの文化に対する理解を深めることができた。

③ 韓国Sangmyung High Schoolとの交流

ユネスコスクール事務局より紹介のあった韓国のSangmyung High Schoolとオンライン交流を実施している。お互いの自己紹介や学校紹介を撮影した動画を送りあったり、オンラインでの交流会を実施したりした。今後は、オンラインアプリを活用してSDGsに関連するテーマについての意見交流を行う予定である。

4.地域の視点で捉えた社会課題の解決に係る学習及び活動

本校は、平成30年から福島県立ふたば未来学園高等学校との交流を行っている。今年度は11月に同校の生徒が本校の第2学年の授業「グローバル平和探究」に参加した。福島県の生徒の視点からのエネルギー問題についての発表を聞き、「日本のエネルギー問題」について意見交換を行った。授業後希望者を募って交流会を行い、各自の探究内容についての意見交換を行った。風土の異なる地域の生徒が社会課題の解決についてそれぞれの地域の視点から意見交換を行うことで視野を広げ、知見を深める契機となった。

来年度の活動計画

これまで同様、生徒一人ひとりが自己の探究活動において、問いを吟味し、内容を検証していくプロセスが必要である。そのため、フィールドワークやインタビュー調査のための十分な時間を確保することが目下の課題であり、来年度からのカリキュラムの改編に向けて検討を重ねている。またその際、「グローバル平和探究」で学習し、習得した知識・技能が「総合的な探究の時間」でのテーマ決めやその後の探究に生かせるように、長期的な視点で計画を立てておくことが理想である。各教科での学習内容を往還させることで、探究の深化や学びの真正性につながると考える。来年度も、本校の目指す「国際社会の平和と発展のために活躍できる人材」の育成に学校全体で取り組んでいきたい。

過去の活動報告