2019年度活動報告
本年度の活動内容
環境, 人権, その他の関連分野
※ 旧安中市立松井田北中学校の活動報告
当校は、全校生徒30名という小規模校であるが、自然豊かな山村地帯において、協力的な地域の支援を受けながらのびのびと活動している。しかし、地域の高齢化が進むとともに、地域活動の担い手も減少していることから、今後も活力ある地域となるためには担い手としての中学生の存在がカギとなる。そこで、「郷土を愛し、知徳体の調和のとれた豊かな人間性をもつ生徒の育成」を学校教育目標として、郷土との結びつきを大切にした学習を展開するとともに、共生社会の実現に向け人権意識の高揚を図っている。
具体的には、ESDとSDGsの実現に向け、①勤労生産学習 ②地域貢献活動 ③人権学習 ④食育を行っている。
①勤労生産学習(環境 2.飢餓をゼロに 15.陸の豊かさも守ろう)
この学習は本校に伝統的に伝わり、特色ある学習活動と言える。学校農園を利用して全校生徒が4つの縦割り班に分かれ、班ごとに話し合って決めた野菜の栽培を行っている。収穫までの作物の管理は、生徒が主体的に行い、全班共通の作物としてサツマイモの栽培も毎年並行して行っている。
地域の方には年度の始めに畑を耕していただいたり、栽培の仕方についてアドバイスしていただいたりしている。収穫したものは、部活動終了後に食べたり、家に持ち帰って家族とともに食べたりしている。また、収穫祭で縦割り班後毎に焼き芋をして、栽培し食べることの楽しさを学んでいる。勤労生産活動は、生徒にとって、地域とのつながりを保ちながら、働く喜びを味わうことができる活動になっている。自然とのふれあいを通して豊かな感性を育てるとともに自然の恵みを感じ、それを守っていこうとする意識の高揚をめざす活動になっている。
②地域貢献活動(環境 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任つかう責任)
○クリンクリンの活動
全校生徒が登校時に通学路のゴミ拾いをしてきたり、更に登校後に学校周辺のゴミを拾ったりする活動である。生徒の提案で「クリンクリンの日」という愛称をつけ全校生徒に呼びかけて、実施しており、前日には全校生徒が集まる食堂での給食の時間や帰りの会で運営委員が参加を呼びかけている。月に1度、小学生と協力して活動している。身近な所でできることを継続することが環境を守る上でも大切であることを実感できる活動である。
○ふるさとセンター清掃活動
地域の公共施設である「ふるさとセンター」の池や水路の清掃、庭の草むしりを毎年2学期の始めに全校生徒で行っている。3年生はデッキブラシ等を使い、池の清掃を、2年生は水路を、1年生は施設の清掃や草むしりの作業を行っている。暑い陽射しや滑りやすい池での作業は大変だが、生徒たちは熱心に取り組んでいる。奉仕の心と共に、自分たちの暮らす環境を自分たちの手で守っていこうという意識の定着をめざしている。
○三会による除草作業
小学校のPTA、中学校のPTA、教育振興会が一緒に除草作業を行っている。
「PTAによる奉仕作業」を、本校では、「三会による奉仕作業」と呼んでいる。
普段から三つの団体が協力して学校を支援している。この奉仕作業は、年2回、6月・8月の土曜日に実施され、児童・生徒も自主的に参加している。
○リサイクル回収
夏休みに、保護者のみなさんと生徒、学校が協力して行っている。中学校主体の行事だが、小学校の保護者や小学生も一緒に、地域ごとに家を回り、新聞や段ボールを回収している。
③人権学習(人権 5.ジェンダー平等を実現しよう 10.人や国の不平等をなくそう)
5月に前期人権集中学習週間を設定し、全校での人権集会で以下のような学習を行った。
○人権集中学習週間の意味【生徒会長】
○人権標語作成の呼びかけ【生徒会本部役員】
○「北中人権宣言」の説明【生徒会本部役員】
○安中市の重要課題プライバシー、SNS関連のDVD視聴
○校長講話
○人権教育主任の話(日頃の人権に対する自分の考えを人権標語に表現させる)
12月に後期人権学習週間を設定し、ハンセン病をテーマに、全校で学習した。
○人権標語・人権作文の代表作品紹介【人権教育主任】
○「北中人権宣言」の確認と見直しについて【生徒会本部役員】
○安中市いじめ防止フォーラムの報告【参加生徒】
○校長講話
○人権教育主任の講話。
今回は、ハンセン病をテーマとして差別の生まれる原因を豊富な資料を提示しながら考え、正しい知識を身につけることの必要性を学びました。人権標語も全員が応募し、人権意識を高める一週間となった。
また、1年生の福祉体験学習で地域にある介護施設を訪問した。実際にふれあうことを通して、施設における様々な工夫に気づき、今までは気づかなかった課題を知り、福祉について深く考えるきっかけになっている。
④食育(その他関連する学習 2.飢餓をゼロに)
ふだんの給食では、残り物を減らす取組も続けている。学校保健委員会でも食育を取り上げ、「野菜をもっと食べよう」と、給食の時間と関連させている。
この取組の成果か、北中の残量は、ここ2年、過去よりもぐっと減っている。
6月6日の朝の活動で保健委員会が中心になって、SDGsについて基本的な学習を行った。これをもとに 6月16日 細野小学校の児童と合同で、講師の先生を招き、食育についての学習を行った。学習のテーマは、「食べること」の大切さや食べるよろこびを感じてもらいながら、すべての人たちが「食料への権利」を実現でき、安心して食べられるような世界にするために、自分たちに何が出来るのかを考えた。小中学生混合で班別に話し合いを行った。班では、小学生からの視点、中学生からの視点で意見を出し合い、活発に意見交換が行われた。中学生が中心になって意見をまとめ、全体に発表した。小学生の考えを知ることができて、とても良い学習になった。最後に学習後の感想の一部を紹介します。
「世界には十分に食べられない人がいるので、私は好き嫌いなく残さず食べて、食べ物を無駄にしないようにしようと思いました。世界の人たちみんなが食べられる世界をつくるために、何かできることはしたいなと思いました。」
来年度の活動計画
令和2年度も、「勤労生産学習」「地域貢献活動」「人権学習」「食育」の4つを柱として、学習を展開する予定である。学習に際し、教師から与えられた課題に取り組むのではなく、自分たちで状況把握をし、課題解決のための手立てを考え、計画的に行動することができるように、生徒に働きかけ、自分事として、自分には何ができるかを考え実践する力を育成したい。さらに安中市公立学校のユネスコスクールの第1号として、情報発信にも力を注いで行きたい。日々の教育活動のさまざまな場面で、SDGsの17の目標を関連付けて意識していく。また、ユネスコスクールの一員であることを意識して自覚と誇りをもって行動し、北中の特色ある活動を他校へ発信し、活動の輪を広げていきたい。