- なごやだいがくきょういくがくぶふぞくちゅう・こうとうがっこう
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名古屋大学教育学部附属中・高等学校
- Affiliated Upper and Lower Secondary Schools, School of Education, Nagoya University
- 種別中等教育学校または中高一貫校等 地区中部地区
- 主な活動分野海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 持続可能な生産と消費, 健康, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野
所在地 | 〒464-8601 愛知県名古屋市千種区不老町 |
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電話番号 | 052-789-2680 |
ホームページ | https://highschl.educa.nagoya-u.ac.jp/ |
加盟年 | 2010 |
2024年度活動報告
気候変動, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)
本校は、STEAM教育を活動テーマとして、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して2024年度は、「セクショナリズムとコーポレーショニズム」をテーマとして活動を行った。
世界全体がセクショナリズムに向かっている様相の今だからこそ、次世代を担う子どもたちにはコーポレーショニズムについての理解を深めて欲しい。そのために子どもたちには身近なところからスタートし、次第にその範囲を世界規模に広げていって欲しいと考えている。ボーダレスが一般化した現在、人や国は「個」では、生きていけない。「タイパ」や「コスパ」が重宝がられるが、じっくりと時間をかけて、「セクショナリズムとコーポレーショニズム」について考えることが今年の活動テーマであった。そのために実践した活動を以下に示す。
○2024年度愛知県ユネスコスクール交流会への参加
昨年度に続き、「SDGs AICHI EXPO 2023」内で10月10日~12日にかけて開催された「愛知県ユネスコスクール交流会」に参加した。私たちは「アジアの中の日本」「私たちの将来を大きく左右する地球環境」をテーマとして、来場者を対象としたワークショップや成果物展示、ステージ発表を実施した。ワークショップは、「葉脈標本のしおり作り」と題して、身近な植物を観察し、その植物の葉を利用して葉脈標本を作製した。作成した葉脈標本には、参加者がお気に入りの色をつけ、「しおり」を完成させた。当日は、小学生や中学生から大人まで幅広い年代の方が参加して、身近なことから環境を考えることができた。また、生徒が参加した「モンゴル研修」や「タイ研修」について成果物の展示やステージでの発表を行った。
○モンゴルの大草原から地球環境を考える!
2024年7月 23日にセントレアから羽田を経由して生徒と教員がモンゴルを訪問した。9日間の滞在のうち、前半は草原で遊牧民とゲルスティ。後半は首都ウランバートルでホームスティを実施。訪問に先立ち、モンゴル人高校生10名を本校で1週間受け入れた。事前学習として「モンゴル語講座」も5日間開催した。見渡す限りなにもないモンゴルの大草原で真っ暗な夜空を見上げ、遊牧民と衣食住をともにした。その後移動した大都会ウランバートルでは、超近代的な生活に舞い戻り、そのギャップについて考えた。少子化・高齢化、地球環境の急減期な変化、グローバル情勢の混迷等、今の子どもたちは、非連続的な課題に立ち向かうことが必然視される時代を今後生き抜いていかねばならない。経済発展か地球環境かの二項対立ではない、「なにか」を探し、考案し、実践しなければならない。私たち大人は、「負の遺産」を子どもたちに残すわけにはいかない。子どもたちとともに考え、ともに同じ目線に立って彼らの将来をともに創造していく責務がある。モンゴルの草原で感じ、話しあったことが今後の生徒と教員、双方に大きな影響を与えることを期待する。
○2024年度「第8回高校生カンボジアスタディツアー」への参加
日本ユネスコ協会連盟が主催し、公益財団法人かめのり財団の共催で実施した「第8回高校生カンボジアスタディツアー」(7月29日~8月5日)に本校生徒が参加した。首都プノンペンの学校を訪問し、カンボジアの教育問題について現地の関係者から聞き取り調査を行った。また、シェムリアップでは「世界寺小屋運動」の視察や関係者との交流を実施した。帰国後も「世界寺小屋運動」に継続して参加し、名古屋ユネスコ協会とも連携を深めた。
○高校生国際会議の開催
SDGsというと文系生徒が議論するテーマだと考えられがちであるが、実際は理系分野に大きくかかわることが多い。つまり、SDGsは、文系や理系の壁と取り払って考えなければならないテーマである。今回の高校生国際会議は文理融合を「ねらい」として2日間実施した。参加者は、日本の高校生56名、海外の高校生30名、名古屋大学留学生がファシリテータとして29名で120名弱の規模で実施した。海外からの高校生は22か国から参加した。SDGsのテーマごとに小グループに別れ、1日目は理系生徒と文系生徒が別々のグループで議論。2日目は、同じゴールについて議論をしていた理系生徒と文系生徒が一緒に議論を行い、理系的アプローチと文系的アプローチを融合させた解決作を考案し発表した。
○United Nations International School (UNIS)とBard High School Early College (BHSEC) 訪問
VUCAの時代を柔軟な思考を持って生き抜く高校生の育成を目的として、12月9日から15日にかけて「米国 海外研修」を実施した。このことで生徒の国際性を高めるとともにグローバルマインドセットを向上させることを期待した。BHSECでは、実際に行われている「数学や理科の授業」に現地の高校生と一緒に参加もする。このことは学習法の違いだけでなく、世界の仲間と将来チームとして研究を深める際の「学びの基盤」の育成を心掛けた。加えて、日12米共通で設定した共通のテーマに基づいて、日米双方の高校生がそれぞれ自国で実験研究した内容を持ち寄り、発表・議論を行うJoint Science Projectを実施した。様々なベクトルから日米の高校生が同じテーマを追求する。日本人以外の研究視点が加わることで新規性のある思考構造が獲得できた。また、SDGsのGoal 9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に焦点を当て、United Nation International School(UNIS)を訪問し、科学の発展と「産業や技術革新」の関係や科学の発展ついて現地の高校生と討論を行った。加えてワイルコーネル医科大学を訪問し世界最先端の研究者の研究者から直接講義を受け、将来海外で学び研究をするためのグローバルマインドを形成した。
○木曽馬プロジェクト ー生物多様性について考えるー の開催
授業後の活動として木曽馬プロジェクトを発足させた。先進国では少子高齢化が進んでいるものの地球規模では人類総数は増加の一途をたどっている。2080年代半ばには103億人に達すると言われている。この現実と平行してWWF(世界自然保護基金)によると、現代は生物多様性の深刻な危機に現在陥っており、絶滅危機種が4万種を超えているという。中部地区においてももともとは日本在来馬の1つであった「木曽馬」が年々その数を減らしている。木曽馬プロジェクトでは、木曽馬についての研究を通して、種の保存について考えるとともに、人類という種のこれからについても考える事を目標としている。8月24日(土)に本校グラウンドに木曽馬2頭を招聘し、本校生徒だけでなく、地域の人たちも招待し多くの来場者が木曽馬と触れあった。また同時に木曽馬についての興味や関心を深めるために、木曽馬講演会や木曽馬に関する展示を行った。また、木曽馬を飼育している長野県開田高原にある木曽馬牧場を2度訪問した。1度目は、10月26日(土)に日帰りで、2度目は、3月8日(土)~9日(日)に合宿形式で行った。木曽馬についてだけでなく、その地域の環境や生活、木曽馬の食料である「ニゴ」についての学習も深めるため、旧家である「山下家」訪問や。「ニゴの会」のメンバーからお話も伺った。
○海外の中学生や高校生との交流会
世界の仲間と交流するための機会を少しでも多くの仲間と触れ合い、日本を越えた世界への理解を深めることを目的として実施した。6月28日~7月7日まで、米国ノースカロライナ州の高校生6名、7月9日~18日までモンゴルの高校生10名をホームスティで受入れた。また単発では7月16日には英国ケンブリッジ大学の学生6名、10月18日は香港の中学生30名、10月20日にはシンガポールの中学生20名を受け入れた。本校の中学生と理科実験や観察を一緒に行う授業を行ったり、文化交流を行った。
来年度の活動計画
2025年度は、2024年度に実施した内容を継続するとともに、海外研修として「シンガポール」を含めるなど新規の事業も立ち上げる計画である。また、本校での活動を校内だけにとどめるのではなく、ホームページ等を活用して外部発信を積極的に実施していくことも考えている。2024年度は「セクショナリズムとコーポレーショニズム」をテーマとした活動をおkなってきたが、今後、ますます「セクショナリズム」が進行していることが懸念される。これは国際的なことに限らず、私たちの身の回りの生活にも大いに当てはまるのではないか。公助、共助、自助のどれもが無くてはならない大切なものであるが、その中でも「共助」の在り方について考える2025年度にするための活動を計画する。