2018年度活動報告
本年度の活動内容
生物多様性, 減災・防災, 気候変動, 環境, 持続可能な生産と消費, 食育
※気仙沼市立大島中学校は、令和3年度に閉校し、令和4年度より気仙沼市立鹿折中学校に統合されました。
気仙沼市立鹿折中学校
当校は,ESDの実践を通して,自らの身を守り乗り切る力,知識を備え主体的に行動する力,地域の復興に貢献しようとする意欲や安心・安全な社会づくりに貢献しようとする生徒の育成を目標としている。
具体的には,全学年で取り組む防災学習,防災マップづくり,非常時の対応や,1学年で行う福祉学習,2学年で行う職場体験(地域復興),3学年で行うまちづくりに関わる学習など,①防災に係わる学習,②福祉に係わる学習,③地域復興に係わる学習を実践した。
①防災学習
「社会のためにできることを考える」をテーマに,毎月11日を防災学習の日と設定し,朝学習の時間や学級活動の時間に,防災学習副読本や防災学習シートを活用しながら防災学習に取り組んだ。また,6月と11月には地震・火災を想定した避難訓練を実施したり,不定期にショート避難訓練も実施したりした。その他にも,鹿折小学校と合同で引渡訓練を行ったり,気仙沼市の総合防災訓練に参加し,避難所設営訓練や炊出し等の体験活動を行ったりした。
②福祉学習
「ふるさとや環境について考える」をテーマに,地域に関する調査や探究の過程を通し,主体的に学ぼうとする態度や学び方を身に付けた。また,気仙沼の福祉の現状などについての調査や交流活動,表現活動を通して,地域の人々と触れ合い,より深く関わりをもち,郷土を愛する気持ちを育てた。
③地域復興学習
「地域の産業やくらしを考える」をテーマに,職業に関する調査や体験活動,表現活動を通して,主体的に学ぼうとする態度や学び方を身に付けた。また,地域での職場体験をすることによって,産業と向き合いながらそれらを支える人々の生活や生き方に触れ,人と関わり,人から学ぶ力を育てた。さらに,「社会のためにできることを考える」をテーマに,防災教育の観点から課題を選び,調査活動や体験活動,表現活動を通して,主体的に行動する実践的な態度を身に付けることができた。
これらの防災学習を通して,地域の一員としての自覚をもち,今後の鹿折地区,ひいては気仙沼市全体の復興など,より意欲的に社会と関わりをもとうという気持ちが育まれた。
(旧)気仙沼市立大島中学校
1 本校のESDでめざすもの
(1)ESDのねらい
総合的な学習の時間を中心とした探究的な学習を通して,地域に根差し,地域の未来や自分の生き方を見つめ,実践する態度や能力を育成する。
(2)ESDで育てたい資質・能力
①地域の特色を生かした学習に取り組ませ,主体的に課題を見つけ,探究する能力
②課題解決に必要な情報の収集の仕方や,相手に思いを伝えるためのまとめ方や情報発信の仕方
③積極的に多くの人と関わり,自らの将来や生き方を考え,地域の未来ことを考えた行動しようとする態度
2 実践事例
(1)ホタテ養殖体験学習
宮城県漁協大島出張所青年会及び女性部の協力のもと,小学6年生から中学3年までの,4年間に渡って種付け,耳吊りなどのホタテ養殖体験学習を行っている。
①中学1年では,ホタテ貝に付着した貝や海藻を除去する背ばたき体験。ホタテの耳に穴を開け,ピンを通したものをロープに差し込む耳吊り体験。約20枚のホタテをつけたロープを本校専用の筏につるす体験。
②中学2年では,宮城県漁協大島出張所青年会の方を通して市場に出荷していただくために,前年から育てたホタテの水揚げ体験。ホタテ貝の付着物を除去する体験。
③中学3年では,宮城県漁協大島出張所女性部の協力のもと,ホタテのむき方体験。ホタテを使った調理体験。
(2)4つのゼミに分けての探究活動
総合的な学習の時間の学習の一環として全校生徒を4つのゼミに分け,探究活動を行った。ゼミごとにテーマを設定して学習を進め,それらの成果を文化祭で発表した。
①つばきコースでは,古来より自生しているつばきの生態調査。大島地区老人クラブ連合会と協力してつばきの実の採集体験。つばき油のボトルに貼付するラベルのデザインの考案。
②ゆずコースでは,北限のゆずの生態について,ゆず農家への聞き取り調査。ゆずを使った調理体験。
③まちづくりコースでは,気仙沼地方振興事務所水産漁港部の方の指導のもと,地区内に建設される防潮堤にできる公園デザインを考案し,提案。
④海洋コースでは,海洋ごみ(マイクロプラスチックや漂流ゴミ)と環境への影響についての調査。ホタテ養殖に関する調査。海上保安庁の協力のもと,小田の浜海水浴場での漂着物調査。
(3)海洋教室・海洋講話の開催
大島汽船など海の仕事に携わる方からの講話や建設中の「みらい造船株式会社」の見学を行った。また,水産試験場の方など海洋や養殖に関する専門的な講話を聞いた。
(4)ソーラン演舞
本校伝統の「大島ソーラン」を小中学生合同で,運動会や大島に研修に来た目黒区立東山中学校の1年生との交流会の席上で演舞を披露した。地区の浦の浜まつりでも地区の方々の前で披露した。
(5)海洋教育サミットへの参加
「海洋教育こどもサミットin気仙沼」に全校生徒で参加した。自分たちの発表とともに,他校の発表を聞くことにより,まとめたり表現したりすることの大切さを学んだ。
来年度の活動計画
気仙沼市立鹿折中学校
次年度においても防災学習を中心に進め,生徒主体の話合いや体験活動を積極的に取り入れていきたい。また,年間指導計画においては,指導内容を適切に定め,更に指導方法の工夫・改善を図っていきたい。その他として,総合的な学習の時間を中心とした,教科の横断的な指導計画を立てたり,防災学習やふるさと学習の場面では,地域の人材や学習素材,及び関係諸機関をより活用できるような計画を立案したりしていく必要がある。上記の内容を実践し,生徒が地域に愛着を持てるようなカリキュラムを組み立て,地域に貢献できる人材を育成できるようにしたい。また,鹿折小学校との連携を更に強め,義務教育9年間を見通した防災教育計画を考えていきたい。
(旧)気仙沼市立大島中学校
・今年度の活動の振り返りを十分に行い,計画の改善のために見直しを図る。その際,計画の中にESDの理念やSDGsを意識した具体的な取り組みを盛り込んでいく。
・より島の中学校という,地域と連携した体験学習を計画し,生徒が故郷の現在や未来を自分のこととして考えられ,自らの招待をより具体的に思い描けるような学習を展開する。
・学習した内容の発表を広く公開する手立てを講じる。
・地域との協働教育を進めていくためにも学区内の団体との協力関係を強化する。また,より専門的な知識や体験をさせるため,大学や研究機関等,多くの教育関係団体との協力を深めていく。