2018年度活動報告
本年度の活動内容
環境, 減災・防災, 食育
本校は、人間愛と共生の心に基づく、教師と子どもが「共に在る」を教育理念として、ESDを「『ひと、もの、こと』とのつながりのなかにある、かけがえのない命・わたしとあなた」と捉え、ESDの実践を通して問題発見、課題解決、対話的で深い学びの力の育成を目標とした。
今年度、具体的には総合的な学習の時間を柱に、①防災に係わる活動、②環境〈ゴミ〉に係わる活動③環境〈林業〉に係わる教育、④食育に係わる学習に係わる学習を行った。
① 防災に係わる活動
例年、春に行われる校内避難訓練の後、「本当に今のままの避難訓練で災害から身を守ることができるのか」と、自分たちの訓練に取り組む態度へ疑問をもち、他校の防災設備や防災倉庫、県内の輪中地域でかつて大きな水害を経験した小学校の避難訓練の様子などを取材したり、県の防災課を訪ね、専門家の方に指導を受けたりしながら、他の学年にも学んだことを伝えるなど、防災への意識を高めていくことができた。
② 環境に係わる学習(ゴミ)
ゴミを減らすため、自分たちに何ができるのかを問い、学校周辺や通学路でのゴミ拾いを行うなどの取り組みを行った。拾ったゴミの行方に関心をもち、長野市のゴミ処理の仕組みや、処理に関する課題を調べた。市民がゴミ処理手数料を負担していることや、最終処分場を市外に委託している事実と出合い、ゴミ処理には多くの負担があることを知ることで、リデュースの必要性について考えを深めることができた。
③ 環境に係わる学習(林業)
県の8割をしめる森林の有効活用が進んでいない林業の実態に、「なぜ木材が使われないのか」と疑問を持ち、実際に林業に携わる長野県環境部、長野県環境保全協会の皆さんを訪ねたり、市有林へ行き、森林整備の現場〈伐採、枝打ちなど〉を見学したり実際に体験したりして、森林の有用性を理解していった。また、森林整備の大変さや林業従事者の後継者不足などの課題に着目し、県民の一人としてどう向き合っていけばよいのか考えながら、校舎移転時に植林された校庭林の間伐にも挑戦し、森林を身近に引き寄せながら学習を深めている(5学年。現在も継続中)。
④ 食育に係わる学習
本校は県内でも少なくなった「自校給食」が食べられる恵まれた学校であるが、ある日学級で給食の時間が短く、大量の残食が出てしまったことを問題にした4年生が、栄養士さん、給食調理員さんの給食への思いを聞きに行ったり、各学級の教室に行って、共に給食を食べながら食についての語らいをすることで、少しでも高く食べ物への関心を持ってもらおうとしたり、生産者や残食の行方など調べたことや自分たちの願いを新聞にして発表したりすることで、残食を減らしたいという願いに向かって学習を進めている(4学年。現在も継続中)。
来年度の活動計画
環境・食育に係わる学習(低学年)
学校の周辺には畑や水田が多く、またそのために張り巡らされた用水路がある。子どもたちは「散歩」をしながら、農作業をされている地域の方や水路を守る水利組合の方たちに出会い、土地の様子や環境維持への配慮を聞いたり、豊かな動植物とのふれあいをしたりすることで、身近な自然環境への興味関心を高める。
また、田畑をお借りしながら作物作りを通して、育てること、食べること、人や地域のつながりなどを学んでいく。さらに動物飼育も行う中で、「食」や「命」についても学んでいく。
環境に係わる学習(高学年)
ドロで埋め尽くされ、ついに池の体をなすことすらなくなった自然体験園の「大池」をよみがえらせた卒業生の意志を継ぎ、再び泥が池を埋め尽くさないための手立てと、本来ビオトープとしても機能していた大池に、再び様々な生き物が棲める環境を創っていく。
食育・エネルギーに係わる学習
他の穀物類と比較して圧倒的な収穫があり、アレルギー原因物質を含まないとされる「スーパーフード」と呼ばれるソルガム粉を、家庭科の調理実習の材料として創意工夫を重ねながら、調理に取り組み、ソルガムの有用性を学ぶ。また、信州大学で研究を進める先生方や学生の皆さんにも教えていただきながら、食のみならずバイオエタノール、飼料などとしても多大な可能性をもつソルガムについて見識を広げていく。