• わかやまけんりつたなべこうとうがっこう
  • 和歌山県立田辺高等学校

  • Wakayama Prefectural Tanabe Senior High School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野減災・防災, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費, ジオパーク

所在地 〒646-0024 和歌山県田辺市学園1-71
電話番号 0739-22-1880
ホームページ https://www.tanabe-h.wakayama-c.ed.jp/high.htm
加盟年 2017

2024年度活動報告

活動分野

減災・防災, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費

本校の教育目標である「合理的な思考・豊かな情操・積極的な行動」に基づき、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して、21世紀を力強く、積極的に、心豊かに生きていく力を育成することを目標とした。

① 総合的な探究の時間における取り組み

高校3年間を通したテーマは、「温郷知新」「Think Locally Act Globally」である。これらは本校の造語である。前者は、「ふるさとをたずね、あたらしきをしる」という意味である。また、後者は「地元に学びつつ、世界を視野に入れて行動しよう」という意味である。

第一学年は、探究のスキル学習と地域探究に取り組んだ。探究のスキル学習は、探究教材を活用した学習、外部講師によるデータ利活用講座、探究コンテストへの挑戦などに取り組んだ。続いて、10月を「地域を知る月間」と位置づけ、3週連続で講演会を企画した。具体的には、SDGs未来都市に選定されている地元自治体の首長、地方創生に取り組む企業経営者、地域の魅力をまとめたガイドブックを出版されている文筆家の方々をお招きし、地域の魅力と課題、そして持続可能な地域づくりについての学びを深めた。そして、11月からは「地域×SDGs」という大テーマを設定し、地域課題の解決について探究している。

第二学年は、「なぜ?からつなぐ現代社会の諸課題」をテーマに、前期は興味・関心ベースの個人探究を行った。夏休み期間を利用して全員が探究コンテストに挑み、探究成果発表会につなげた。後期は13のゼミに分かれてグループ探究を行い、地域・日本そして世界の諸課題について探究している。

第三学年は、「自己の生き方・在り方を探究する」をテーマに、進路探究を行った。具体的には、自己分析をしたうえで自己推薦書・志望理由書を作成した。そして、探究活動の総括として、自分がこれまで取り組んだ探究活動を文章でまとめる活動をした。

② SEEKER(シーカー、生徒国際委員会)の取り組み

ユネスコスクールとしての活動に専門的に取り組む生徒有志の委員会である「SEEKER」を組織し、「持続可能な地域づくりに貢献する」「熊野の地から世界をみつめる」をテーマに、多様な課外活動に取り組んだ。

≪世界遺産探究≫

田辺市教育委員会文化振興課のご指導のもと、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産である熊野古道の保全活動(道普請)を実施した。田辺市内の熊野古道・長尾坂にて地中から古道の石畳を発掘する作業や、木製の階段を補修する作業を行った。また、和歌山県世界遺産センターの職員をお招きし、「世界遺産入門講座」を開催した。身近にある世界遺産の価値や、世界遺産の保全と活用についての理解を深めた。2025年3月には、沖縄県の興南高校と世界遺産をテーマとしたオンライン交流会を行う予定である。

≪国際交流≫

大阪観光大学所属の留学生にお越しいただき、交流会を実施した。韓国・中国・ベトナム・スリランカ・モンゴル出身の学生の方々から母国についてプレゼンテーションをしていただいたあと、グループに分かれて交流し、相互理解を深めた。また、ニューヨーク和歌山県人会の会長を務める本校卒業生にコーディネートをしていただき、ニューヨーク大学の学生の方々とオンラインで交流した。海外の大学への進学を希望する生徒にとっては、ニューヨークでの学校生活・日常生活のリアルを知れる貴重な機会になった。ニューヨーク大学の学生さんからも日本文化などについて多くの質問が出され、活発な意見交換をすることができた。今後、2025年3月には、和歌山県庁国際課のご支援のもと、中国四川省の北京第二外国語学院成都附属高校とオンラインで交流をする予定である。草の根の国際交流が、他国に対する先入観・固定観念を打破することにつながり、平和の礎になることを期待している。

③ 防災教育

本校周辺地域は「南海トラフ巨大地震」による甚大な津波被害が予想されるため、持続可能な地域づくりのためにも防災・減災・復興は重要な地域課題である。したがって、2011年の東日本大震災を自分事と認識し、世代をこえて学び続ける必要がある。そこで、防災・復興などに興味関心のつよい有志の生徒6名を募集し、8月に3泊4日の福島スタディーツアーを実施した。福島県浜通り地域を訪問し、震災に関する遺構や資料館などを見学して地震・津波・原発事故の悲惨さを目の当たりにした。また、福島で復興に取り組む方々のお話を聴き、被災地・福島で今を懸命に生きる人々の姿を知り、生徒たちは自己の生き方・在り方を見つめ直す機会にもなった。また、11月5日の「世界津波の日」に合わせて高校1年生を対象に防災講演会を企画した。夏の福島スタディーツアーでお世話になったフリーアナウンサーの方に本校へお越しいただき、実話を交えながら、東日本大震災の教訓をお話しいただいた。感極まる生徒がたくさんおり、命の大切さを再認識させられる講演会であった。

以上のように、本校では総合的な探究の時間における探究活動と、生徒有志による課外活動を中核にしながら、持続可能な社会の担い手の育成やSDGsの達成を目標とするESDに取り組んでいる。

来年度の活動計画

基本的には2024年度の取り組みを継承しつつ、生徒の主体性を重視しながら、以下の活動を行う予定である。

① 総合的な探究の時間においては、1年次は持続可能な地域づくりの視座に立った地域探究、2年次は生徒の興味・関心に主軸をおいた探究、3年次は地域社会や国際社会への貢献という視点からキャリア探究を行う。また、外部機関と連携した講演会を企画し、生徒の視野を広げたい。

② 世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を教材とする世界遺産学習を行い、ユネスコの理念や文化遺産を尊重することの大切さを学ぶ。また、人類の宝としての世界遺産を後世に継承するため、世界遺産保全活動を行うとともに、世界遺産を活用した持続可能な地域づくりについて探究する。また、世界遺産をテーマとする県外の学校とのオンライン交流会を継続したい。相互に地元の世界遺産を紹介し、学び合いながら、世界遺産の保全と活用、地域活性化について探究したい。

③ 国際理解教育を重視し、異文化を尊重する態度を養い、人類の平和と友好、パートナーシップの大切さを学び、心の中に平和の砦を築くための取り組みを推進する。対面だけでなくオンラインツールも活用した国際交流の機会を数多く設けたい。そのためにも、中国四川省の学校との交流、ニューヨーク大学およびニューヨーク和歌山県人会との交流、大阪観光大学の留学生との交流を継続したいと考えている。また、コロナ禍で途絶えていた姉妹校ミラ・ロマ高校(アメリカ)との短期交換留学の再開も予定している。

過去の活動報告